ダウンヒル

ダウンヒル “Downhill”

監督:ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ

出演:ジュリア・ルイス=ドレイファス、ウィル・フェレル、ミランダ・オットー、
   ザック・ウッズ、ゾーイ・チャオ、クリストファー・ヒヴュ、
   ジュリアン・グレイ、アモン・ジェイコブ・フォード、ジュリオ・ベルーチ

評価:★★




 止せば良いのに、ハリウッドがまだ記憶に新しいスウェーデン映画「フレンチアルプスで起きたこと」(14年)をリメイクする。休暇先の雪のアルプス、雪崩が起こったとき、父親が家族を守ることなく自分だけ逃げてしまったことから起きる悲喜こもごもを描いた傑作だ。ウィル・フェレル主演で作り直すとは、何かの冗談ではないか。

 『ダウンヒル』を実際に観ると、しかし、何に驚くってフェレルが控えめに徹していることだったりする。オリジナルに敬意を払うかのような静かで淡々とした語り口に合わせ、通常の幼稚なパフォーマンスに走ることなく、自分の器の小ささに動揺する男を寂し気に体現しているのだ。てっきりオリジナルとは似ても似つかぬバカ騒ぎを展開するかと思ったのに。

 ところが、フェレルが自分を抑えてしまったがためだろうか、父親の内面の探求はほとんど機能しない。代わりに、妻の内面がグッとせり上がる。それはほとんど妻が主人公と言って良いくらいに。妻はチクチク夫を攻撃する。何度も何度も…。気持ちは分かるものの、あまり気分が良いものではない。ただし、演じるジュリア・ルイス=ドレイファスは上手い。特に何が起こったのか知人に説明する場面の感情のジェットコースターっぷりに見入る。

 妻が掲げる正義が正論そのもので、それゆえ中盤以降、「夫という立場にあぐらをかいていると、妻に捨てられるぞ」というメッセージを贈る映画に見えてくる。本来は人間という生き物の利己的な部分を鋭く考察したはずだったのに、これいかに。妻がスキー指導員と仲を縮めるという展開は…もはや別の映画になっちゃった感。

 ハリウッド仕様を痛感するのは、終幕に家族の価値観を問い掛けるエピソードが並んだこと。大オチがあるとは言え、ちゃんと夫がフォローされる。ふたりの子どもたちに配慮したそれであるあたり、いかにもアメリカだ。フェレルが出ているからか、こちらのまとめ方の方がホッとしたりして…。もっと辛辣に行く方が断然好みなのに。

 脇役はもっと派手に動かしても良い。特に(すっかり立派なオバチャンになってしまって驚愕の)ミランダ・オットーの役どころは、もっと遊ぶべきだ。妻を指南するだけでは物足りない。もっと夫婦仲をかき乱してくれないと。子どもたちもいかにも聞き分けの良い態度の数々にため息が漏れる。





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