侵入する男

侵入する男 “The Intruder”

監督:デオン・テイラー

出演:マイケル・イーリー、ミーガン・グッド、デニス・クエイド、
   ジョセフ・シコラ、アルヴィナ・オーガスト、エリカ・セラ

評価:★★




 精神が病んでいるというより狂人に近い男に襲われる恐怖を描いた映画は少なくない。『侵入する男』は「ケープ・フィアー」(91年)「不法侵入」(92年)あたりと血縁関係にあると言えるだろうか。真人間が特に理由なく、或いは不条理に命の危機に晒される。家という生活の基盤となるものに忍び込んでくるところにタチの悪さがある。

 尤も、ここに出てくる男のやり口は嫌がらせに近いもので、もしかしたら現実世界でもこういう輩は結構いるのだろうか。勝手に芝刈りや花壇弄り。車のシートに煙草の押しつけ。セックスの覗き見。押しかけ感謝祭。行為がどんどんエスカレートしていくのは定石通り。いるはずのないところから見張られる、ストーカー的恐怖も具える。ただ、新味はないため、観ている方も緊張とは無縁。余裕を持って事態を観察。

 デニス・クエイドは最初から怪し過ぎる。目の前で鹿を撃ち殺すところから始まるクエイド ショー。クエイドが魅せる恐怖の基盤は、いつもなら頼もしいあのアメリカ的笑顔にある。笑えば笑うほど怖い。目だけ笑っていないというやつ。ただ、観る側を最も戦慄させるのは、銃や斧を振り回す画ではない。ミーガン・グッド扮する人妻のうなじの匂いを嗅ぎ、恍惚の表情を浮かべる場面だ。あの笑顔が最も活きるのは、変態演技だった!この女、俺のものにしてやる!

 怖がらせ方はワンパターン。突然のショック映像と大音量の音楽が大好物。真っ暗な空間、突然の光で浮かび上がる姿や、あらぬ方向からの出現の繰り返しで得意気だ。どうやら作り手には独創性というものと無縁のようで、例えばマイケル・イーリーとグッドが引っ越してきた当日、キッチンでセックスに突入していく件の演出など、観ていてホント、気恥ずかしい。メロウな音楽と肌のアップ、甘い言葉と吐息って…。この際気づくのは、イーリーがクエイドよりも悪人顔という事実だったりする。

 グッド扮する妻が苛々させる。イーリーが散々警告するのに、それを無視するのだ。何度クエイドを無防備に家の中に招き入れるのだ。…となると対決の構図は、「男 vs. 男」という昔ながらのものとなり、ますます話はカビ臭くなる。女は男の欲望の対象としての役割を与えられ、けれど頭を働かせないことでサスペンスに貢献する…というわけだ。#MeToo信者たちが怒るぜ。

 それにしてもクエイド演じる狂人の人物造形はこれで良いのだろうか。最後まで理由が明らかにされないのに、家に固執。家を売ることで大金を手に入れたのに、借金を返すことに安堵することなし。執着の対象は家から妻へスライド。その散り際はまずまずでも最後までもやもやしたものを残す、中途半端なキャラクターだ。





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