ザ・キッチン

ザ・キッチン “The Kitchen”

監督:アンドレア・バーロフ

出演:メリッサ・マッカーシー、ティファニー・ハディッシュ、エリザベス・モス、
   ドーナル・グリーソン、ジェームズ・バッジ・デール、
   ブライアン・ダーシー・ジェームズ、ジェレミー・ボブ、
   マーゴ・マーティンデイル、ビル・キャンプ、コモン、アナベラ・シオラ

評価:★★




 反射的に「ロスト・マネー 偽りの報酬」(18年)が過ぎる。堅気ではない夫を持つ妻たちが、夫が居ぬ間にその仕事を引き継ぎ、まんまと成功してしまうのだ。『ザ・キッチン』で言えばマフィア稼業。1978年へルズ・キッチン、地域がマフィアと密接に結びついた場所で、メリッサ・マッカーシー、ティファニー・ハディッシュ、エリザベス・モスが奮闘する。

 これはもう昨今耳にタコができるほど叫ばれる、女性の社会進出・地位向上を意識したものだろう。どれだけ女という生き物が蔑まれてきたか。男たちがそれを当然のこととし、女たちがそれを当然のこととして受け入れてきたか。その鬱屈した思いが燃料となり、三大女優が新時代を切り開かんと動き回る。

 したがって楽しいのは、彼女たちの活躍が痛快な生理と結びつく前半だ。腹を括った女は強い。とんとん拍子で男たちが手こずる仕事をモノにしていく。金の取り立てという地味な仕事から始まり、次第に自信がつくことで口調が変わり、遂には手に銃を持つまでになる。三大女優の空気が変わる。凄味が出てくる。姉御!とお呼びしたくなる。

 中でも目を見張る変化を見せるのはモスだ。いちばんか弱そうな存在だったモスが、ある出来事を経て別人と化す。男に入れる蹴りや銃の扱い、似合っている。ハディッシュもお馴染みのハスキーヴォイスを抑え気味にしたのが正解だ。マッカーシーはいつになくフェミニンな匂いを発散、ちゃんと「イイオンナ」風に変身していくのがイイ。

 ロマンス部分は不要だろうか。とりわけモスとドーナル・グリーソンが深い仲になるのには戸惑う。ただ、「あなたには殺して欲しくない。私が殺したい」というセリフが飛び出したり、風呂場での人体切断がふたりの愛を確かめ合う行為になったり、案外エッジの利いたやりとりが前面に出るので、気にならなくなる。

 それよりも問題は夫たちが再登場してからの展開だ。彼らとの対立が生温いし、それをきっかけに女たちの結束が揺らぐのもつまらない。ユーモアも途端に不発、だから不必要な死が多くなる。おそらく原作を意識した流れなのだろうけれど、それよりも女たちの仕事をもっと具体的に見せることで、女性賛歌に持っていくべきだったのではないか。マッカーシーには最後にもうふた暴れほどして欲しかったところだ。





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