ガリバー旅行記

ガリバー旅行記 “Gulliver's Travels”

監督:ロブ・レターマン

出演:ジャック・ブラック、エミリー・ブラント、ジェイソン・シーゲル、
   アマンダ・ピート、ビリー・コノリー、クリス・オダウド、T・J・ミラー、
   ジェームズ・コーデン、キャサリン・テイト、エマニュエル・カトラ

評価:★




 ジャック・ブラックを主演に迎え、ジョナサン・スウィフトによるあの「ガリバー旅行記」を、現代要素をふんだんに取り入れて映像化する。こんなに愉快になりそうな匂いがするのに、ほとんど視覚的な面白さが感じられなかったのは、3D映像の無意味さ、或いは出来映えゆえではない。ブラックの肉体の持つ爆発力を丸っきり活かせていないから、いや、活かそうとしていないからだ。

 ブラックの肉体に反骨精神が輝くと、恐ろしいまでに破壊的となる。「スクール・オブ・ロック」(03年)を思い出すといい。負け犬的な状況下、ブラックの中で燃えるそれが、ものの見事にロックパフォーマンスとして浮かび上がっていたではないか。一見ただの暑苦しいデブだけれど、その脂肪には大変な瞬発力が具わっている。

 ただ、作品の指揮を執る監督がそれに気づかないと、実に厳しいことになる。ブラックの弛んだ肉体から簡単に察せられる、だらしない個性。そればかりを大々的に強調し、本当に画面そのものがだらしなくなる。『ガリバー旅行記』はその罠にまんまとハマった。ブラックの弛みにばかり着目し、小学生向きの幼稚な笑い(と思しきもの)に逃げる。下ネタ(それも排泄ネタ)の羅列にはタマげる。小人の国に辿り着いて一発目のギャグが、ブラックの肛門に小人が突っ込むって…。ブラックならではのアクが弾けたのは、エンドクレジット前に唐突に挿入される、ミュージカル場面のみだろう。それまでは日本の退屈なアニメーション映画の「飛ばない豚は、ただの豚だ」というフレーズばかりがこだまするとは、これいかに。

 ブラックが繰り出す小技もほとんどが浪費される。つくづく思うのはブラックの肉体の細部から醸し出されるおかしみというものは、相手がいてこそのものなのだ。周囲にいる者との微かにして、大胆な違いが見えないと、ちっとも想像力を刺激されない。物語上、ブラックと小人役のジェイソン・シーゲル、エミリー・ブラントらとの共演場面は、不自然にならないよう加工が施されていて、でもその作り込みが味気ない。パロディ場面にしても、幼稚園のお遊戯会的微笑ましさばかりが、目につく。そこではブラックの小技は見事にかき消されている。繰り返すけれど、「飛ばない豚は、ただの豚だ」。

 そもそも主人公であるレミュエル・ガリヴァーの人物造形が姑息な言動により成立しているというのが気にかかる。好きな女に近づくためには平気で嘘を吐くし、常に小狡い手を使って急場を切り抜けていく。臆病でもいい。自信が足りなくてもいい。口だけは達者というのでもいい。それらとは違う、人間の軸となる部分の放棄。ブラックの個性とは合わない。

 それにしてもテキトーな脚本だ。酔っ払ったまま一夜で書き上げたとしか思えないテキトーな展開、テキトーなエピソードがズラリと並ぶ。演出も演技もそれに合わせたかのようにテキトーにしか見えない。原作への冒涜と言って、間違いない。





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