ザ・ウェイバック

ザ・ウェイバック “The Way Back”

監督:ギャヴィン・オコナー

出演:ベン・アフレック、アル・マドリガル、ジャニナ・ガヴァンカー、
   ミカエラ・ワトキンス、グリン・ターマン、ブランドン・ウィルソン、
   チャールズ・ロット・ジュニア、ウィル・ロップ、メルヴィン・グレッグ、
   フェルナンド・ルイ・ヴェガ、ベン・アーヴィング

評価:★★★




 弱小スポーツチームに新コーチが現れて快進撃が始まる…というお決まりのストーリーだ。例えば「陽だまりのグラウンド」(01年)「スマイル、アゲイン」(12年)「マクファーランド 栄光への疾走」(15年))あたりがパッと思いつく。もちろん「がんばれ!ベアーズ」(76年)は忘れてはいけない。『ザ・ウェイバック』では不振が続くキリスト系高校のバスケットボールチームに、かつての名選手がコーチとしてやってくる。

 前述の作品とのいちばんの違いは主演男優とコーチの姿が被るところにあるだろうか。ベン・アフレックは近年アルコール依存症に悩まされていたことで知られている。本来私生活と仕事を重ねて観るのは正しいことは思えないものの、そうするのが難しいのは、アフレックがかつてないほどに役柄を自分のものにしているからだ。簡単に言うと、アフレックがとても良いのだ。

 アフレック演じるコーチの人生は冴えない。死んだ父親との確執がちらつき、最近離婚も経験したようだ。冴えない人生を人のせいにして生きているフシがある。アフレックの佇まいは常に哀しげで、しかしそれだけではない。中盤以降、哀しみの傍らには怒りが潜んでいることが分かる。そしてその怒りの正体が見えてきたとき、コーチの過去と今が瞬く間に溶け合っていく。アフレックの技が見事にキマる。

 単純な話でもギャヴィン・オコナーの演出は手堅い。説明し過ぎない語り口が大いに効いているし、人物に寄り過ぎないカメラワークも大人っぽい。心のひだを撫でる音楽が優しく鳴り響く。その姿勢はまるでコーチとチームの再生を見守るかのようで、過剰な装飾は彼らの人生を考えたとき、失礼になると考えたのではないか。

 もちろん弱小チームの再生という王道の楽しみはたっぷりある。チームメンバーは無名の若手ばかりのため最初こそ判別に苦労するものの、次第にそれぞれの顔が見えてくる。性格も読めてくる。すると彼らを応援したくなる。彼らの歓びが自分の歓びになる。若者の笑顔は人を気持ち良くさせることに改めて気づく。分かっていても心躍る展開だ。

 議論を呼ぶのは最後の展開だろう。ある出来事がきっかけでコーチが解任される。すると映画がまるで別のそれに見えてくるのだ。せっかくの気持ち良い気分が吹き飛ばされ、酷く深刻な気配が立ち込める。これがアルコール依存症患者に立ちはだかる現実か。この結末の流れはしかし、暗いだけには終わらせないことで、何とか持ち堪えたと見るのが正解ではないか。コーチがある選手に与えたセカンドチャンスとコーチがかける一本の電話が希望になる。作り手はあくまで厳しく優しい姿勢を守った。それが表れた結末だ。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク