ザ・ゴールドフィンチ

ザ・ゴールドフィンチ “The Goldfinch”

監督:ジョン・クローリー

出演:アンセル・エルゴート、オークス・フェグリー、ニコール・キッドマン、
   ジェフリー・ライト、ルーク・ウィルソン、サラ・ポールソン、
   ウィラ・フィッツジェラルド、アナイリン・バーナード、
   フィン・ウォルフハード、アシュリー・カミングス、
   エイミー・ローレンス、ロバート・ジョイ、ボイド・ゲインズ、
   ルーク・クラインタンク、ヘイリー・ウィスト、デニス・オヘア、
   ジョーイ・スロトニック、ピーター・ジェイコブソン

評価:★★




 『ザ・ゴールドフィンチ』とは17世紀オランダの画家カレル・ファブリティウスの絵画のことで、日本では「ゴシキヒワ」の名前で知られているようだ。「ゴシキヒワ」が飾られるニューヨークの美術館で、主人公テオは母と一緒に爆弾テロに巻き込まれる。映画はテオの十数年を追いかけたもの。いかにも文学小説の映画化を思わせる空気が立ち込める。

 問題はこの空気がちっとも楽しくないことで、その多くはテオの陰気な性分に起因する。テロで母を亡くしたことには同情するものの、元々静かな性格だったのか、一向に覇気のある言動はなく、ひたすら悲しげな眼で人生を憂いている印象。母の死。美術館に同じく居合わせた少女。指輪の謎。小説原作らしく伏線を散りばめるものの、テオの陰気な顔の前では大した吸引力を放たない。

 人は他人に対して自分を偽り続け、しまいには自分にも偽るようになる。作中出てくるセリフで、テオはこれをスローガンに掲げたらしい。テロのどさくさで「ゴシキヒワ」を盗んだことがテオの人生に影を落とすという解釈の演出。それならば何故テオはそれほどまでに「ゴシキヒワ」に拘るのか説明があるべきなのに、一向にそれが見えない不思議さよ。母との会話にヒントがある風な結末を見せるものの、ちっとも腑に落ちない。

 代わりに膨れ上がるのは、テオの立ち居振る舞いに対する疑問だ。「ゴシキヒワ」のために俺の人生は滅茶苦茶だ。これまでも、きっとこれからも…。これがテオの叫びであり、つまり彼は「ゴシキヒワ」を言い訳に己を、己の人生を憐れみ続ける。自己憐憫家なのだ。エピソードの大半はテオの憐憫を撫でるためにある。何と面倒臭い男!それにテオ役アンセル・エルゴートは完全なるミスキャストではないか。

 テオが唯一生き生きして見えるのは、アルコール中毒の父親に引き取られた先で、ロシア系の親友ボリスに出会う件だ。ボリスがテオに「よお、ハリー・ポッター!」と声をかけるところから始まる関係は、若い魂ならではの躍動感がある。たとえそこにドラッグや暴力が紛れ込んだとしても、だ。演じる子役俳優たちも悪くない。

 クライマックスは何故だか突然の犯罪ドラマ仕立て。「ゴシキヒワ」を悲劇の原因と呼ぶ割りにちっとも物語の重心にそれがなかったのに、話をまとめるために急に軌道修正。けれど、時既に遅し、というもの。テオに引きずられるように陰気な登場人物たち。強請や浮気。アンティーク店主との交流。テオが波乱万丈を嘆く人生は退屈に縛られる。「ゴシキヒワ」の行方を今更追いかけたたとしても、どうこうなるものではない。





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