ザ・ハッスル

ザ・ハッスル “The Hustle”

監督:クリス・アディソン

出演:アン・ハサウェイ、レベル・ウィルソン、アレックス・シャープ、
   ディーン・ノリス、ニコラス・ウーデソン、ティモシー・シモンズ

評価:★★




 良くできた詐欺師映画が楽しいのは、観ているこちらまで気持ち良く騙される快感があるからだ。繰り返す。気持ち良く、だ。「ペテン師とサギ師 だまされてリビエラ」(89年)を女ふたりを主人公にしてリメイクした『ザ・ハッスル』はどうか。きっと騙されたと思うと同時に、もやもやしたものが残る人の方が多いのではないか。

 そうなったのは、映画が#MeToo時代を強く反映させたアップデートを目指しているのに対して、細部にそれを認めない演出や描写が目立つからだろう。強い女たちを讃える素振りを見せながら、どっこいそうは行くか、男たちが出しゃばったり、女たちが自滅するような振る舞いを見せたり…。

 レベル・ウィルソン演じる三流詐欺師がデブである身体を利用して男たちを騙すのは、出だしとして悪くない。頭が弱く、身体はか弱く…という男たちが助けたいと思う女を装う。アン・ハサウェイ扮する一流詐欺師も、男たちに見下される運命を逆手に取る。弱い女程男の心を動かす現実を操る。そうして男たちが油断したところで大金を頂戴する。

 けれど、こういう女の姿は今の時代、古臭い。今は女たちがどんどん強くなっている時代だ。もしそんな風に詐欺を積み重ねてきたとしても、そんな自分を恥じる場面があってしかるべき。そして今度は、女の弱さを武器になどせず、堂々真正面から男たちを手玉に取らなければ、嘘だ。ハサウェイとウィルソンが体現すべきは、カッコイイ、今の時代を生きる詐欺師像のはずなのだ。そこを見誤る。

 だからクライマックスが、まだ毛が生え揃ったばかりのような若造を騙すという頓珍漢なものになる。視覚障害ネタで延々引っ張る。相手を出し抜こうと繰り広げられるのは意地悪合戦。セックスした方が勝ちという謎の勝負。観たいのは、華麗なる詐欺の手口なのに、いつの間にか女の友情物のような気配まで漂わせ始める。一体どこに向かうつもりか。

 笑いの大半は、デブ体型を使ったウィルソンの捨て身っぷり。ハサウェイはスタイリッシュにキメながら、どこか抜けた風なところを楽しそうに演じる。ただし、それが観る側に伝わらない。何とか笑わせようという懸命さが透ける。裏の裏をかいてスマートに落とすべき詐欺師映画においては由々しき事態と言える。日本の「コンフィデンスマンJP」(18年)のように無理矢理な詐欺(オチから逆算したようなズルい罠ばかり)も困りものだけれど、もはや詐欺師映画であることを忘れたかのようなこちらにも、軽い眩暈を覚える。





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