ザ・ライト エクソシストの真実

ザ・ライト エクソシストの真実 “The Rite”

監督:ミカエル・ハフストローム

出演:アンソニー・ホプキンス、コリン・オドノヒュー、アリス・ブラガ、
   シアラン・ハインズ、ルトガー・ハウアー、トビー・ジョーンズ、
   マルタ・ガスティーニ、マリア・グラツィア・クチノッタ

評価:★★




 何と実話を基にしているのだと言う。バチカンには「悪魔にとり憑かれちゃいました」との報告が1年間に50万件もあるそうだ。どこまでが真実に忠実なのか知らないけれど、少なくとも悪魔祓い=エクソシストが職業として成立しているのは間違いない。アメリカの教会に一人はエクソシストを配置せよとの命令まで出ている。それだけでも驚くけれど、その上バチカンにはエクソシスト養成講座まで開かれているというではないか。うぉー、教会はホンキだ。いや、悪魔がホンキを出すから、教会がホンキにならざるを得ないのか。教会がホンキを出すから、悪魔も余計に本気になっちゃうのか。どっちでもいいか。

 『ザ・ライト エクソシストの真実』は悪魔祓いの儀式をおどろおどろしく魅せて怖がらせようという気はあまりないように見える。家業の葬儀屋から神父への転職を目指す青年を主人公に置き、もうひとつ神や悪魔の存在を信じ切れない彼が、一流エクソシストの下で一人前に成長していく過程が描かれる。捻りを効かせた青春ストーリー、成長ストーリーとして読むのが正解なのだろう。

 ただ、コリン・オドノヒューが時折マット・ディロンのバッタモンに見えるぐらいにしか青年像に面白味がなく、かつその心象が悪魔の存在の是非以上のものに広がっていかないので、実にサラッとした印象。爽やかでもないけれど、心にフックするところもない。ならばせめて悪魔祓い場面にもっと力を入れて演出して欲しかった。お行儀が良い悪魔祓いなんて、フツー。精神科医が患者を診ているみたいに、フツー。実際青年は、悪魔にとり憑かれているとする者を精神的に病んでいるだけではないかと推測する。ひょっとすると悪魔祓いと精神医療の境目に着目するべきなのだろうか。いや、ホント真面目だ。

 でもまあ、これは正しいアプローチなのかもしれない。悪魔祓いを取り上げた映画というと、既に決定版が出ているのだから。もちろんウィリアム・フリードキン監督による「エクソシスト」(73年)のことだ。あの骨の芯まで沁み入ってくるようなホンモノの恐怖とショック(そして仄かに漂うユーモア)は簡単に超えられるものではない。これまでにどれだけの映画が悪魔祓いを描き、その度に「エクソシスト」と比較され、撃沈していったことだろう。最近だと「エミリー・ローズ」(05年)がジェニファー・カーペンターの身体を張った怪演のおかげで見ものになっていたくらいだろうか。ここでもケレン味をほとんど放棄しているのに「エクソシスト」ほどの衝撃があるはずもなく、新しい「悪魔祓い」は見当たらない。

 ただし、完全に斬り捨ててしまうのは勿体無い。青年が教えを請う一流エクソシストにアンソニー・ホプキンスが扮しているのだ。普通にしていても怖いホプキンス、案の定、立っているだけで悪魔よりよっぽど怖い。ひょっとすると悪魔の親玉の正体なのではないかと疑ってしまうくらいに怖い。その佇まいから発せられる空気に圧倒されたオドノヒューは、学芸会演技のまま身体を硬直させている。悪魔もバカだ。ホプキンスと対決しようだなんてバカだ。ナメてかかると脳ミソを喰われるぞ。レアのまま喰われるぞ。

 …と思っていたら悪魔にも根性があったようで、ホプキンスにとり憑いてしまうではないか。自分がとり憑かれたことを自覚したホプキンスは、今度は自分の内側の部分と対決を始める。オドノヒューもひよっこ悪魔祓いとして奮闘するも、いてもいなくても良いような。ホプキンスは特殊メイクの力も借りて、とり憑かれた男を嬉々として表現する。そうか、ホプキンスじいさん、これがやりたかったのか。納得する瞬間である。





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