リズム・セクション

リズム・セクション “The Rhythm Section”

監督:リード・モラーノ

出演:ブレイク・ライヴリー、ジュード・ロウ、スターリング・K・ブラウン、
   リチャード・ブレイク、ダニエル・メイズ、ラザ・ジャフリー、
   ジェフ・ベル、タウフィーク・バルホーム、マックス・カセラ

評価:★★




 『リズム・セクション』のヒロイン、ステファニー・パトリックは飛行機事故で両親と弟妹を亡くす。絶望でボロボロになった後、これが事故ではなかったと知った彼女が殺し屋になる物語だ。「ライリー・ノース 復讐の女神」(18年)と全く同じ設定。女だって怒りに燃えると怖いよってなもんか。けれど、あぁ、もっと近いのは「ニキータ」(90年)かもしれない。

 殺し屋を名乗るには、結局最初から最後までプロフェッショナルな匂いが立ち上がらないのだ。殺し屋の特訓はしても、華麗なる技はキマらない。泣きながら、辛うじて仕留めることが多々。大声を出して目立ちまくり、カーチェイスではのろのろ。絶好のチャンスでも躊躇いを見せて苛立ちを誘う。何と言うか、きびきびとしたところが感じられず、画面に向かって「シャキッとしろ!」と説教したい場面ばかり。バスの中の格闘で魅せるくらいだ。

 イスラム原理主義の影がちらつく飛行機爆破実行犯たちを殺害していくヒロインが、常に唐突に見える。これは金に物を言わした情報提供があるからで、彼女は犯人に辿り着くためにほとんど何の苦労もしていない。つまりは謎解きミステリーがない。真相を解き明かす件がない分、ヒロインの感情の揺れが映えない。

 となると、演じるブレイク・ライヴリーも困ったことだろう。ヒロインに魅力と呼べるものが見当たらないのだから。だからと言うわけでもないだろうけれど、ライヴリーはいつもとはヴィジュアルを大きく変える。トレードマークと言って良いブロンドのロングヘアを、ダークに染めてばっさりカット。メイクは薄めで、目の下にはクマがくっきり。これだから僅かに用意される変装場面が有り難いこと有り難いこと。こんなにゴージャスになれるのに、勿体無いことをした。ヴィジュアルへの凝り方が間違っている。

 もちろん責任はリード・モラーノ監督にある。スローペースを維持する演出が拙い。ヒロインが自発的に動き出すまでに30分かかるし、特訓の後、殺しが始まるのは後半に入ってからだ。その上殺しに入っても、ヒロインのうじうじした態度が消えることはない。「復讐で傷は癒えない」と言われて「傷なんて言えなくて結構」と言ってのけるヒロインなのに、これいかに。

 多分モラーノは、女の殺し屋としての活躍には興味がない。あくまで重要なのは女が立ち直る様子であり、そのためには物語も画も現実的である必要がある、漫画であってはいけない。そう考えたのに違いない。もちろんそれもひとつのやり方だ。ただ、ライヴリーの身体能力の高さを知っている者の目には、いかにもじれったい。アクションを犠牲にしたドラマが優れていれば、まだ救われただろうに、しかし、あぁ…。





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