悪魔はいつもそこに

悪魔はいつもそこに “The Devil All the Time”

監督:アントニオ・カンポス

出演:トム・ホランド、ビル・スカルスガルド、ライリー・キーオ、
   ジェイソン・クラーク、ヘイリー・ベネット、セバスチャン・スタン、
   エリザ・スカンレン、ミア・ワシコウスカ、ロバート・パティンソン、
   ハリー・メリング、ダグラス・ホッジ、ポーキー・ラファージ

評価:★★




 アメリカ映画では定期的に宗教を取り上げた作品が出てくる。厚い信仰とそれがもたらす神の奇跡を描く。『悪魔はいつもそこに』はそれらと対をなすような映画と言えようか。信仰心を傍らに置きながら、それこそ本当に悪魔に魅入られたように負の連鎖に巻き込まれていく人々の姿。もう一歩で滑稽に映るところにまで迫る。

 …というわけで、登場人物はろくでもない者ばかりだ。ヒッチハイカー狙いの殺人鬼や性に溺れる牧師、悪徳警官等…そのまま犯罪者な面々もいれば、心の弱さにより間違った方向に転げてしまう者もいる。映画は約十数年の時の流れで悪に揉まれていく人々を、運命や導きの気配を色濃く漂わせながら描く。なるほど狙いは分かる。

 ビル・スカルスガルドは第二次世界大戦へ出向いたときのトラウマを抱える。その息子トム・ホランドはヴェトナム戦争に向かう自分を想像する。物語の始めと終わりにそれに触れるあたり、作り手が暴力というものがもたらす因果応報に目を向けていることは明白で、その悪循環が物語の軸に置かれる。どれだけ抗っても抜け出せない悪しき繋がりを、ほとんど諦観の面持ちで眺めるのだ。

 ただ、これを人間の業と呼ぶには、登場人物の言動は俗が過ぎるかもしれない。地図に乗るか乗らないかの田舎町で起こる出来事の数々は、町のスケールに合わせたかのようにちっぽけで(もちろん当人達には一大事)、或いは下品かつせせこましく、その中に潜む悪を強調すればするほど、メロドラマの匂いが深く立ち込めてくる。狙い通り決めた中に、余計な養分が雪崩れ込むということだ。

 例えば、群像劇の中でも物語を動かす重要な役割にを担うホランドは登場後、地味でも堅実に修正されていた人生を、怒涛の勢いで踏み外していく。ここに嫌っていた父親と似たようなことを繰り返してしまう己がリンクされることで、ある種の人生ゲーム的要素が浮上することになる。まるでシドニー・シェルダンの小説のような。もちろん褒めていない。

 主演級がズラリと並ぶ俳優たちの演技合戦はどうか。いずれも手堅いものの飛び抜けた存在感を示す演技は見当たらない。敢えて言うなら、性犯罪者の牧師をしれっと演じるロバート・パティンソンは、そのたちの悪い邪悪さが柄に合っているものの、絡む俳優がほとんどホランドとエリザ・スカンレンだけなのは物足りない。これは他に俳優にも言えることで、演技を戦わせるほどに役と役がぶつからない、或いは組み合わせが制限される。不幸な事態と言えよう。





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