幸せへのまわり道

幸せへのまわり道 “A Beautiful Day in the Neighborhood”

監督:マリエル・ヘラー

出演:マシュー・リス、トム・ハンクス、クリス・クーパー、
   スーザン・ケレチ・ワトソン、マリアン・プランケット

評価:★★




 フレッド・ロジャースはアメリカの子ども向けTV番組の司会で知られる人物だ。この程度の知識しかない者が『幸せへのまわり道』(何と気の抜けた邦題だ)を100%堪能するのは難しいのではないか。何故なら作品自体がロジャースの番組へのオマージュであり、番組に直に触れていない者には狙った古臭さが、それ以上でもそれ以下でもない感情しか呼び起こさないのだ。

 ロジャースに扮したトム・ハンクスがカメラに向かって語り掛けるところから始まる。物語の主人公がマシュー・リス演じるジャーナリストだと判明する。彼のロジャースへの取材がそのままロジャースの魅力を解き明かすそれとなる。…と同時にジャーナリストは父との確執に向き合うことになる。何と言うか、狙いが手に取るように分かる。

 町の風景が模型で表現される。音楽はメロウで郷愁を誘うものだ。時間の流れが妙にゆっくり切り取られる。そして何と言っても、ロジャースに似せるハンクスの存在。世界観の再現がそのまま癒しとなる。この効果はしかし、本物を知らないと、感覚的に分かった気分になって、終わりだ。

 …となると、クリス・クーパーとリスによる父息子の衝突に目が行くのは当然だろう。リスは穏やかで心の機微を知る名ホストと接することで、一部で止まっていた時間を動かすことになる。つまりロジャースはあくまで案内人だ。彼の役割はクーパーとリスの和解に尽きる。ロジャースは言う。「許すとは決断をすることだ」。ここが丁寧にスケッチされるのは悪くない。

 「愛している相手ほど、許すのは難しい」。これを証明するかのように息子の父への苛立ちが良く分かる。他に女を作って家族を捨てた男。無神経に再接触してきた男。その酷さが露わになっているのに、何故か周囲の寛容を誘う男。息子の父への思いの屈折は普通のそれでさえややこしい。クーパーとリスがその関係を誠実に語る。

 尤も、父息子が関係を再構築させていく過程は型通りだ。父親の病が発覚するあたりなど、実話通りなのだろうけれど、かなりベタだ。それに結局肝はロジャースだ。ほとんどメリー・ポピンズ的立ち位置。作り手が目指すは、ロジャース賛歌だ。良い話かもしれない。でも、あからさまが過ぎて、気恥ずかしさが勝つ。





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