希望のカタマリ

希望のカタマリ “All Together Now”

監督:ブレット・ヘイリー

出演:アウリイ・クラヴァーリョ、レンジー・フェリズ、ジャスティナ・マシャド、
   フレッド・アーミセン、キャロル・バーネット、ジュディ・レイエス、
   テイラー・リチャードソン、ジェラルド・アイザック・ウォーターズ、
   アンソニー・ジャック、C・S・リー、ジェイ・フォックス・ジュニア

評価:★★




 格差社会は対岸の火事ではない。紅葉が美しいポートランドに住む高校生アンバーもそれに振り回される人生だ。成績優秀、何事にも一生懸命取り組む優等生でありながら、実はホームレス。酒に溺れる母と一緒に働けれど働けれど金は貯まらず、ばれないようバスの中で寝泊まりする毎日。ごく少数の問題だとすら言えないのが現実だから、嫌になる。

 アンバーが状況をいかに打破するか、それが見所の『希望のカタマリ』は、実は欠点が多い映画だ。必要以上に暗くならない演出や短くまとめられたエピソードの数々は悪くないものの、時折メロドラマの沼に足を取られてしまう。優しい少年と一緒に別荘に向かうあたりはニコラス・スパークス映画みたいだし、中盤から畳み掛けられる悲劇の連打は何かの冗談のよう。クライマックスのショーはもっとじっくり見せて欲しいし(アンバーのパフォーマンスも欲しい)、オチが見え見えなのもどうか。

 しかし、それをハートと共に吹き飛ばすのがアンバーの人物像で、強さと弱さが同居した立ち居振る舞いに真実味がある。演じるアウリイ・クラヴァーリョのおかげだろう。パッと見た感じはヴァネッサ・ハジェンズ風ながら、アメリカ・フェレーラやジャニーン・ガラファロの気配も感じる。日本で言うなら二階堂ふみか。今のままではいけないと四六時中奮闘する姿が頼もしく、けれど痛々しくもある。終盤、彼女はロックスターと形容されるけれど、強さや弱さも含めて、なるほど的を射ている。

 彼女を中心に置いて語り掛けるテーマが良い。いよいよ自分だけでは問題を対処できないところにまで来たアンバーはしかし、周囲からの救いの手を受け入れられない。人に頼るのは弱いことだから、だ。これをどう偽善臭なく描くかが最大の難関で、その点を何とかクリアーしているがゆえ、少なくない綻びの数々に目を瞑ることができる。

 当初アンバーは窮状の一切を誰にも話していない。恥ずかしさもあるだろう。プライドもあるだろう。けれど、それにばかりこだわっていては、目の前にあるチャンスをみすみす逃してしまい、悪循環の輪から抜け出せなくなる。友達だから話せないことがある。優しい人だからかえって受けれられない。まだ自分は大丈夫なはずだ。アンバーのそういう人として当たり前の感情に寄り添いながら、それでも人が人に手を差し伸べる美しさをすくい上げるところ、この映画、最大の美点だ。

 演劇や歌の才能を秘めたアンバーが名門学校から招待を受ける。そう、夢の第一歩を踏み出す物語だ。そして、家を見つける物語でもある。家とは物理的なそれのことではない。心の家のことだ。自分の強さを信じ、そして弱さを受け入れることを知るアンバーが獲得するその家が、輝いて見える。出来は良くなくても、映画の勝利だ。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク