オフィシャル・シークレット

オフィシャル・シークレット “Official Secrets”

監督:ギャヴィン・フッド

出演:キーラ・ナイトレイ、マット・スミス、マシュー・グード、
   リス・エヴァンス、アダム・バクリ、レイフ・ファインズ

評価:★★★




 国に目をつけられるという点ではヴァレリー・プレイム。重要情報のリークならディープ・スロートか。国の情報操作においては我が国の新聞記者も頑張る。権力に立ち向かう構図ならセクハラに拳を振り上げた女たちがいた。『オフィシャル・シークレット』の主人公キャサリン・ガンの物語は、そう、色々な角度から観ることが可能だ。

 英国諜報機関GCHQへアメリカの諜報機関NSAから送られてきたメールがきっかけだ。イラク戦争に持ち込みたいがゆえ、国連安保理の理事を盗聴せよというとんでもない内容。ガンは国家反逆罪に問われる危険を冒し、これをマスコミにリークする。その際の葛藤が丁寧に、しかしフツーの感覚でスケッチされる。その後襲い掛かる厳しい現実に対しても、ガンはフツーを崩さない。フツーは希望となる。

 移民の夫がいるのも、リークに思い悩むのも、リーク後もモヤモヤを抱え続けるのも、とてもリアルな感触がある。彼女は何に突き動かされたのか。「私は政府ではなく、国民に仕えている」という言葉が結局全てで、ギャヴィン・フッド監督は何よりもまず、このガンの軸となるものを頑丈に撮る。ガンを演じるキーラ・ナイトレイも見誤らない。

 すると、ガンの思いが多方面に伝染する。まずはマット・スミスやマシュー・グードらメディアの正義が動き出す。ガンが起訴されれば、人権派弁護士たちの情熱が点火する。たった一人の女のパソコンの中から動き出した思いが、どんどん熱くする範囲を広げていく、この構造が力強い。この世の不条理を暴く。偽りの正義も暴く。たとえ戦争を防げなくても、何かが繋がる。急所だ。

 フッドの演出は一貫して派手な装飾を避ける落ち着いたもので、それでいて娯楽精神もしっかり獲得しているのが良い。硬くなり過ぎて会話が退屈するところもあるものの、肉体の動きが少ないゆえに、その分心の微動に気を配る。微動はサスペンスの燃料になる。政府と告白者が対決する緊張感が持続する。

 不満があるとすれば、政府側の人間の顔が見えてこないところか。英国首相や米国大統領の顔が幾度となく出てくるからそれで良いのか。ガンと接触する刑事や検察らの顔を映すだけでは掴みどころのない、正義の顔をした悪の本性が浮かび上がらない。尊ぶべきガンのフツーの感覚に釣り合うだけの闇がぼかされているような印象を受ける。





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