グッバイ、リチャード!

グッバイ、リチャード! “The Professor”

監督:ウェイン・ロバーツ

出演:ジョニー・デップ、ローズマリー・デウィット、ダニー・ヒューストン、
   ゾーイ・ドゥイッチ、ロン・リヴィングストン、オデッサ・ヤング

評価:★




 これはジョニー・デップ好きにとっての踏み絵ではなかろうか。デップファンが愛した反逆精神などどこへやら、生温くかったるい、極めてフツーの人間賛歌。「良い話」を目指して「どうでも良い話」になってしまった典型例。ダメだこりゃ。

 『グッバイ、リチャード!』というタイトルが分かりやすいにも程がある。デップ扮する大学教授リチャードが癌を宣告され、残された人生をどう生きるか葛藤する。いや、葛藤なんてないか。残り少ないんだからやりたいようにやったるぜ!的イージーさで周囲を(とりわけ生徒たちを)困惑へと誘う。

 でもまあ、やりたいことの大半は性的なことだったりする。バーの店員と短時間でいたすとか、男子生徒にフェラしてもらうとか。そうでなけりゃマリファナでぶっ飛ぶのもあり。不倫妻と一緒に同性愛告白娘と楽しくやろうぜ!「我々は一瞬毎に人生の物語を紡いでいる」。その物語を最高にしようとしてやってのけるのが、コレダ。その愚鈍さがある意味、スゲー。

 くだらないのに仰々しさ、物々しさだけは忘れないのがタチが悪い。冒頭から悲壮感たっぷりの音楽が流れ、悲劇を強調。病気を一部の人間にしか話さないところに過剰な美学を見出し、人の気持ちお構いなしに身勝手な行動に出ることを自由だと言い包める。主人公に対する哀れみが腐臭を放つ。腐った卵も完璧に負けた。

 驚くべきは物語をデップの余命僅か告白スピーチでまとめるところだ。大勢が見守る中、とりわけ上手く行っていない妻に対して(髪型のせいかアンジェリカ・ヒューストン風のローズマリー・デウィット)、思いを語る。あぁ、ようやく安らぎが得られる。良かったねぇ…というわけだ。これに我慢していると、終わったとホッとしたところで、場所を変えて娘へのスピーチが始まるからおったまげる。そんなに語るのが好きだったのか、このお喋り男!

 あぁ、デップよ。彼がここまで堕ちてしまうとは誰が想像しただろう。物語を貫く泣かせ(そう、“笑い”を意識していると見せかけて狙い撃ちするのは“泣かせ”だ)を簡単に受け入れ、人生をもっともらしく得意気に語る姿に、90年代デップの輝きはない。デップは涙を流す。真夜中、愛犬と共に走らせる車の中で涙を流す。この場面が「驚愕」という言葉が相応しいのは、どこから見てもデップが自分に酔っているからだ。あぁ、デップよ。君に幸あれ。





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