プロジェクト・パワー

プロジェクト・パワー “Project Power”

監督:ヘンリー・ジュースト、アリエル・シュルマン

出演:ジェイミー・フォックス、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、
   ドミニク・フィッシュバック、ロドリゴ・サントロ、
   コートニー・B・ヴァンス、エイミー・ランデッカー

評価:★★★




 その錠剤を服用すると、「(5分間だけ)特殊能力を得られる」のだという。「リミットレス」(11年)を連想する。ドラッグの中毒性、後遺症、副作用。軍事産業の闇。犠牲の上に成り立つ医学。実際それらについて考え込む。ただ作り手が目指したのは、ヒーロー映画の構図を逆転させるところにあるのではないか。

 『プロジェクト・パワー』で並外れた能力を発揮するのは悪者どもだ。彼らは能力を使って社会を支配しようと目論む。ヒーロー的立場の主人公たちも時折薬の力を借りるものの、基本は真っ当な心を見失うことなく能力に立ち向かう。我々庶民はヒーローに憧れる。けれど、現実世界で能力を手にする機会などない。それならば我々は我々のやり方で困難に立ち向かわなければならない。ヒーロー映画の構図を逆転させたのは、そんな思いがあったのではないか。

 ただ、能力が何でもありであるがゆえ、結局バケモノ映画的気配が漂うのは無念だ。この世のものではない何かとの激闘。ホラー映画を思わせるところがある。服用した者によって異なる能力の数々は、ほとんどヒーロー映画の借り物。ハルクやウルヴァリン、ヒューマントーチ、ザ・インヴィジブル・ウーマン…等の既視感ある能力が次々登場。パロディではなくアイデアの枯渇を思わせるのは損だ。

 多種多様の能力の闇鍋状態ゆえ、スタイルが消えてしまったのも厳しいところ。同じことの繰り返しに見えないのは良いものの、善玉も含めて「これが俺のやり方だ」的な軸がなく、場面によって別の映画を見せられているような気分を誘われる。アクションの性質がバラバラ。スタイルに統一感がないということだ。

 それでもスターたちは奮闘する。久しぶりに正統派の魅力を見せるジェイミー・フォックス。年々ヒース・レジャーに似てくるジョセフ・ゴードン=レヴィット。いずれも任せて安心だ(ただし、ゴードン=レヴィットの役どころはなくても成立する話)。尤も、場をさらうのは薬の売人少女に扮したドミニク・フィッシュバック。深刻顔と笑顔をスピーディに切り替えながら、ドレッドヘアでラップを刻む。その存在感はヴェテランふたりを繋げる重要な役回りをきっちりこなすばかりか、物語に刺激たっぷりのフレッシュ風を吹かせることに成功する。

 トーンをシリアスに徹したのも褒められるべきだろう。いくらでもコメディにできそうな設定。そこをグッと堪えて、大真面目にファンタジーを語る。すると主役3人のハードな関係に真実味が宿る。絵空事の中にある人間の想いを茶化さず、そこにこそ存在する「能力」を信じる。フォックス、ゴードン=レヴィット、そしてフィッシュバックらの肉体がそれに応える。物語を語ることが決して忘れられない。





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