ハニーボーイ

ハニーボーイ “Honey Boy”

監督:アルマ・ハレル

出演:ノア・ジュープ、ルーカス・ヘッジズ、シャイア・ラブーフ、
   FKAツイッグス、ローラ・サン・ジャコモ、ドリアン・ファム、
   クリフトン・コリンズ・ジュニア、ナターシャ・リオン、マイカ・モンロー

評価:★★★




 シャイア・ラブーフにトラブルメーカーのイメージがこびりつくのは、ブレイク後間もなくのことだった。警察沙汰を伝えるゴシップが聞かれたのも一度や二度ではない。ただ、面白いことに私生活が荒れに荒れても、俳優ラブーフの評価は一切影響を受けなかったと言って良い。むしろ実力は高まるばかりだった。

 『ハニーボーイ』の脚本はラブーフが手掛けている。そしてエンターテイメント業界で子役として生きる少年とその父親を描くと来れば、自身も子役出身であるラブーフの自伝的要素が強いと見るのが妥当だろう。ノア・ジュープ演じる可愛らしい子役…よりもポイントとして押さえておくべきは、ラブーフ演じる父親だ。非常識を絵に描いたようなステージパパなのだ。

 斯くして、目に残るのは父親のそれらしからぬ振る舞いだ。息子を働かせて、自分は勝手気ままに酒を煽りマリファナをキメる毎日。そのくせ誰に対しても大きな顔で威張り散らす。口も当然悪く、「日本人は目隠しを靴紐でできる」なんて差別的な言葉にも悪びれない。ラブーフの体現するくそったれオヤジ像には迷いがない。

 それならばラブーフは、父への憎しみを込めて物語を書き自ら父を演じたのだろうか。お前のせいで俺は散々苦労したんだ。それを高らかに叫びたかったのだろうか。単純にそれだけとは言い切れないのは、作中に漂う不思議な癒しの気配のためだ。父への憎しみを掲げながら、どこかで安らぎを感じている少年が見えるのだ。

 例えばそれは、何度も出てくるバイクふたり乗り場面に顕著だ。何度も酷い目に遭わされてなお、少年は父の背中にしがみつき、昼と夜の中間の時間の空気と匂いを感じながら、心を癒していく。結局は親子。その関係に甘えるわけではない。ただ、母親と離れて暮らす日々の中に明かりを灯す存在であることは間違いない。

 父と息子の物語と共に描かれるエピソードも悪くない。同じモーテルに暮らす年上の少女との淡い関係が良い味を出している。痛みこそが父のくれた唯一のものだとする屈折した思いが弾ける22歳へと成長した場面も的確。何より全体を見渡したとき、演技が逃避の方法であると同時に、父との関係を繋ぎ止める方法だったという言葉がしっくりくるのがイイ。なるほどラブーフの公私のイメージにぴたり重なる。ラブーフにとってこれは、セラピー映画なのだ。





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