オールド・ガード

オールド・ガード “The Old Guard”

監督:ジーナ・プリンス=バイスウッド

出演:シャーリズ・セロン、キキ・レイン、マティアス・スーナールツ、
   マーワン・ケンザリ、ルカ・マリネッリ、キウェテル・イジョフォー、
   ハリー・メリング、ベロニカ・グゥ

評価:★★★




 「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」(15年)「アトミック・ブロンド」(17年)と並び、シャーリズ・セロンのアクション覚醒三部作のトリを務めるのに相応しい。肉体が伸び伸びと動くのはもちろんのこと、オスカーを受賞してなお実力を認められたいともがいていた若い頃よりも、演技の質が生き生きと充実のレヴェルにある。老けさえも魅力に変換するセロンは今、向かうところ敵なし状態だ。

 ジーン・セバーグ以来の美しい形の頭を持つセロンが、ショートカットの黒髪を振り乱す。黒のタンクトップとパンツをタイトに着こなし、銃や刀を自在に操る。男たちを従えて、的確な指示をびしばしキメる。表情はいつも険しい。何と言うか、姉御!…を通り越して、兄貴!とお呼びしたい貫禄ではないか。『オールド・ガード』でセロンが物語の中央で立つ意味は、とても大きい。

 原作はコミックだという。不死身の肉体を持つ者たちからなる傭兵軍団が主人公と聞けば、それも納得だ。彼らの能力を悪用しようとする陰謀に立ち向かう様を描く物語は、「X-MEN」(00年~)シリーズ的と言えるかもしれない。一国の軍隊より殺しを知る女をボスに持つ軍団の姿に映るのは、時間の概念、命の重みだ。死に方は選べなくとも生き方は選べるという結末に向かって無駄がない。

 讃えるべきはこれを、アクションを通して描き出すことだ。セロンたちの闘いは単純に格好良いものの、それだけではない。生きる哀しみが付随する。不死身の肉体に甘えることのない、肉体のシャープな躍動が、彼らが闘う意義を雄弁に語る。セロンが「何も救えていない」と世を憂う設定も生きる。中盤やや説明的になり過ぎた嫌いはあるし(アクションも不足気味)、もっとメンバーの個性を活かしたアクションを作っても良かったもののの(コスチュームはもっと遊んで欲しい。色遣いも派手に!)、結局その爽快感には抗えない。

 それにしてもセロンの肉体のしなやかなこと!男たちに引けを取らない高身長、長い手足、涼し気な美貌…その全てがアクション向きだ。スタントを使ったところももちろんあるだろう。ただ、大半はセロンがこなしているように見える。動きが俊敏で、かつ残像を許さないキレがある。こんな女に殺された男たちは感謝するしかないだろう。

 軍団の新入りとして登場、観客の目になる役どころがキキ・レインだ。セロンと並ぶとさすがに見劣りするものの(役柄上は何の問題もない)、懸命な佇まいが好もしい。セロンは言わば、レインの教育係だ。終幕、セロンがレインに向けて見せる笑みが胸に残る。これはセロンからレインへ、大スターから新人への温かなエールでもあるのだ。





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