ユーロビジョン歌合戦 ファイア・サーガ物語

ユーロビジョン歌合戦 ファイア・サーガ物語 “Eurovision Song Contest: The Story of Fire Saga”

監督:デヴィッド・ドブキン

出演:ウィル・フェレル、レイチェル・マクアダムス、ピアース・ブロスナン、
   ダン・スティーヴンス、デミ・ロバート、グラハム・ノートン、
   オラフル・ダッリ・オラフソン、ビョルン・ フリーヌル・ハラルドソン、
   ニーナ・ドッグ・フィリップスドッティル、ヨハネス・ヘイクル・ヨハネソン

評価:★★★




 ユーロビジョン・ソング・コンテスト、てっきり映画のための大会かと思いきや、何と1956年から開かれる欧州各国対抗の音楽コンテストなのだという。漁村で売れないバンドを組むウィル・フェレルとレイチェル・マクアダムスは、フェレル映画らしいナンセンスにより、アイスランド代表に選ばれる。当然大騒動が起こる。フェレル映画らしい狂乱が繰り広げられると書けば、雰囲気は伝わるだろう。

 フェレル映画には散々苦しめられてきた。幼稚であることを可笑しいと言い包める作法で突っ走るばかりだからだ。ピアース・ブロスナンとフェレル(何故か古田新太に見えるときあり)が親子というとんでもキャスティングを聞けば、またかと警戒しても当然だ。けれど『ユーロビジョン歌合戦 ファイア・サーガ物語』、確かに幼稚でもハートもたっぷり感じられるあたり、これまでのフェレル映画とはちょいと感触が違う。ドラマとギャグのバランスが取れていて、かつそこに音楽の魅力が加わるからだろうか。

 夢の持つ力という散々語られてきたテーマを幹に、年齢と夢の折り合いのつけ方、勝利を目指す意義、夢と愛の擦れ違いといった枝葉を鮮やかに茂らせる。それが主人公カップルが本当の勝利を掴むという単純な結末を豊かにする。とりわけ胸を掴まれるのは、本当に才能があるのはフェレルではなくマクアダムスだという胸の痛い設定だ。夢の方向やそれを叶える力にズレが生じたとき、何ができるか。苦味と甘味の塩梅が悪くない。

 フェレル映画だから、そういったテーマ云々が煩く叫ばれることはない。観る側は目に見えるものの可笑しさに身を委ねれば良い。MUSIC VIDEO風の撮影。時折のドキュメンタリー映画調。幽霊の出現。自己愛臭強いダン・スティーヴンスを始めとするライヴァルたちの濃さ。雑学に終わらないエルフ伝説。けれど結局、アレコレ言いたくなるのは楽曲の魅力だ。

 フェレルとマクアダムスは、あのABBA風の楽曲をオリジナルにしていて、纏う空気はなんちゃって80年代風。当たり障りのないポップソングだと馬鹿にするのは簡単だけれど、いやいや、この心地良さには捨て難いものがある。アイスランドの牧歌的な空気と見事な調和を見せる。主役ふたりを応援しているんだかいないんだか分からない、アイスランド独特の気質も彼らの武器になる。

 クライマックスはもちろんユーロビジョンの決勝だ。予選大会からベタに感動させる仕掛けてんこ盛りだったのが、ここではホンキのパフォーマンスで勝負だ。マクアダムスをリードヴォーカルにして披露する「Húsavík (Hometown)」が胸を打つこと。マクアダムスが神々しく輝き、アイスランドの街並みが見えてくるようだ。フェレル映画史上、最大級のエモーション…かも!?マクアダムスのヴォーカルが実は吹き替えらしいことは気づかなかったことにしよう。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク