透明人間

透明人間 “The Invisible Man”

監督:リー・ワネル

出演:エリザベス・モス、オルディス・ホッジ、
   ストーム・リード、ハリエット・ダイアー、
   マイケル・ドーマン、オリヴァー・ジャクソン=コーエン

評価:★★★




 古典と呼ばれるホラーにはマッド・サイエンティストが必要不可欠。ヤツの豪邸が人里離れた海岸にあるのが良い。現代を舞台にしているのに、どこか古めかしく(映画全体には80年代映画の匂い)、なるほどこれから起こるだろう奇怪な出来事に期待が高まる。ベッドの上で眠る男と女。そのとき女の目がパッと見開かれる。怖ぇぇぇ。

 女を演じるのはエリザベス・モス。「17歳のカルテ」(99年)の影響か、精神を病んだ演技が異様に説得力あるモスが、透明人間になったDV男相手に大奮闘。男の術にハマればハマるほど、何だか妙な安心感を抱かせる。そう、アンタの居場所はここだよ、ここ!ってね。三白眼気味の、あの目が効いている。

 古典の換骨奪胎に挑む『透明人間』最大の特徴は、女目線・モス目線になっていることで、これが物語に多角的な意味を持たせる結果を呼ぶ。#MeToo時代、女をナメんなよ!的な展開以上のニュアンスが、エピソード毎に感じられる。

 例えば、自分の主張を信じて貰えず少しずつ孤立していくあたりには、追い詰められていく者の心理が孤独と密着する面白さがある。ヒロインがなかなか立ち直れないあたりには、男社会の圧力が見える。もちろん科学の暴走は叫ばれる。

 けれどいちばん強い印象を残すのは、常に誰かに見られている監視社会の気配ではないか。透明になった男の存在に恐れ慄くヒロインの姿には、至るところに防犯カメラが設置され、一歩家から出れば(いや、家にいても)決して気を抜くことのできない今という時代が、「ホラー」として映し出されていくのだ。

 不満もある。透明人間になる方法が「特殊スーツ」というのはロマンティックではない。豪邸で買われる強面の犬が活躍しない。ヒロインの身近な人間が不条理に命を落とすのは後味が悪い…等。でもまあ、モスの奮闘に免じて気にするのは止そう。ひとりで床を転げ回るモスの姿は、恐ろしくも、やっぱりちょっとだけ可笑しいのだ。ホラーはこうでなくては!





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