SKIN スキン

SKIN スキン “Skin”

監督:ガイ・ナティーヴ

出演:ジェイミー・ベル、ダニエル・マクドナルド、
   ダニエル・ヘンシュオール、ビル・キャンプ、ルイーザ・クラウゼ、
   カイリー・ロジャース、コルビ・ガネット、
   メアリー・スチュアート・マスターソン、
   マイク・コルター、ヴェラ・ファーミガ

評価:★★★




 「マーサ、あるいはマーシー・メイ」(11年)はカルト集団から抜け出す女の話だった。『SKIN スキン』では男が白人至上主義グループからの脱出を図る。どちらが厄介だろうか。あからさまに暴力に訴える分、後者かもしれない。とすると、更生を決めた者がいたとしても、そこに希望はないのだろうか。

 2009年、オハイオ州コロンバスから始まる物語。冒頭から主人公の血の気の多いこと。実の親に恵まれなかった彼は、あるときネオナチの夫婦に拾われ、そのままその思想を当たり前のものとして受け入れる。拾われる…それはスカウトされると言い換えた方が良いのかもしれない。組織の実情が生々しい。

 その筋金入りの差別主義者が、恋に落ちることで更生の道を選ぶというのはあまりに甘ったるいものの、それと並行して描かれていくものに作り手の信じる姿勢が明確に見え、かつ力強い意志まで感じられるので、さほど気にならない。作り手は訴える。それでも未来はあるのではないか。

 主人公は組織の象徴であるタトゥーを2年近くかけて除去していく。その際の壮絶な痛みが、決して見逃されない。悪行の数々が綺麗さっぱり消え去ることはない。後悔してもそれが助けになるわけではない。苦しみが心を癒すこともない。

 組織を抜けたい者を受け入れる環境はどうだろう。非人間的行為の数々を思うと、更生の言葉を簡単に信じることは難しい。許しは人のできる最も尊い行為のひとつではあるものの、それゆえ簡単にできることではない。寛容とは言葉ほど優しいものではない。それでも、それこそが怒りと暴力の連鎖を断ち切る鍵となる。

 ジェイミー・ベルの渾身の演技が、この難題だらけの更生の道に咲く小さな花を丁寧に摘み取っていく。頭の天辺から足先まで彫り込まれたタトゥー。丸い背中。暴力的な言葉。目が小動物を思わせる分、その破壊力は強烈だ。ベルはそうして振り切った立場から、繊細な跳躍をキメる。絶望につきまとわれながら、全てを失いながら、真っ暗な闇を這いつくばりながら、それでも立ち上がる。ベルの魂はファイターのスピリットを決して忘れていない。





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