7500

7500 “7500”

監督:パトリック・ヴォルラス

出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、オミッド・メマー

評価:★★★




 ハイジャックを取り上げた映画は、似たような画が並びやすい。舞台が飛行機内に限定される上、コックピットを開ける開けないのエピソードを筆頭にサスペンスも、同じような性質に留まるのだ。だからそれを承知の上で敢えて勝負を挑むのであれば、いかに類似映画と差別化を図るか、それを突き詰めなければならない。

 果たして、『7500』は健闘した方ではないか。ベルリン発、85人の乗客を乗せた飛行機がハイジャックされる。犯人たちがイスラム教徒であるところこそ、またかと呟きたくなるものの、厳選されたエピソードに無駄はなく、重要な登場人物ふたりを効率的に描写、90分というタイトな上映時間でまとめている。緊張の糸の張り方緩め方も上々だ。

 主人公である副操縦士の描写こそ、映画の勝利だ。決してスーパーマンではないものの、プロフェッショナルらしく冷静沈着な態度を崩さず、今自分にできることをやるべきことをテキパキこなす。私生活の状況に足を引っ張られることなく、被害を最小限に食い止める姿がイイ。するとそれにつられて、対峙するまだ18歳のハイジャック犯のひとりがその弱さを露わにしていく。卑劣な行為の裏に見え隠れする人間性が効いてくる。

 前半はアクション描写が続く。突然卑劣な行為に走る4人の犯人たちとの対決がコックピットにあるカメラ越しになされていく。パイロットたちが決してコックピットから出ないあたり、かえって生々しい。アクションが落ち着くと、犯人との交渉へと移っていく。ビジネス的な会話に入り込む人間性。思いがけない会話が、事件の背景を埋めていく。主人公と犯人の距離感も揺さぶられる。

 この映画の最大の冒険は、これを全てコックピット内で処理するところだろう。低予算の結果と言えるかもしれないけれど、単調な画を何とか回避しながら並べられる画の数々に工夫が見える。乗客の被害を見せないまま、コックピットに社会の縮図を持ち込んで見せる上手さよ。アクションとサスペンス、そしてドラマを全て同じコックピット内で発生させる賭けに勝利する。意外に早い段階で機を着陸させるのに、やはりコックピットに拘るあたり、徹底している。

 そしてこれは、ジョセフ・ゴードン=レヴィット ショーだ。多少老けて人間的重みが出てきたゴードン=レヴィットが、あまり表情を変えない中に人間的強さ弱さを滲ませる。肉体的行動範囲が制限される中、しかしその激情を自在に操るのだ。メガネを取ってからは、ヒース・レジャーに見える場面が多々ある。しばらく見ない間に俳優として一段階上に上がったような、頼もしい気配だ。





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