15年後のラブソング

15年後のラブソング “Juliet, Naked”

監督:ジェシー・ペレッツ

出演:ローズ・バーン、イーサン・ホーク、クリス・オダウド、
   アジー・ロバートソン、リリー・ブレイジャー、アヨーラ・スマート、
   デニース・ゴフ、エレノア・マツウラ、ミーガン・ドッズ

評価:★★★




 ニック・ホーンビィと言ったら、大人になれない大人を魅力的に描き出す名手だ。彼の原作を基にしたという『15年後のラブソング』でも女ひとりと男ふたりが右往左往。父の遺した博物館に務めるローズ・バーン。その腐れ縁の夫で大学勤務のクリス・オダウド。彼が心酔する伝説のミュージシャン、イーサン・ホーク。もはや安定感抜群だ。

 安定はどこから来るのか。やはりキャラクターの描き込みの繊細さが大きい。ここでは20年以上前に姿を消したミュージシャンを通じて繋がる3人の大人の内面が、日常の細やかな仕草や当たり前の掛け合いの中に、その過去も含めて立体的に浮上していく。

 もっと言うなら、言動とその理由が具体的なのだ。ミュージシャンなら音楽シーンから消えた理由や今の自堕落な生活が、そのオタクなら彼への忠誠心とそれゆえの他人との歪な距離感が、その妻なら夫の愛するミュージシャンへの複雑な思いと諦めていた己の人生への欲望が…それぞれに説得力がある。

 彼らの言動は「大人」としては拙いかもしれない。しかし、それでもそれに対する視線は、柔らかで温かだ。バカにするのは簡単だ。でも、それよりもその根っこや中心に潜むハートから目を離さない。原作者ホーンビィのハートと映画の作り手のハートが共鳴しているのは、そこのところだ。

 ホーンビィ映画と言ったら、音楽もお楽しみ。今回はミュージシャンが大々的に取り上げられることもあり、大半の場面で音が鳴り続ける。アメリカの匂い濃いオルタナティヴ・ロック。ミュージシャンを演じるのがホークで、実は彼の音楽パフォーマンスが好みでないのが厳しいところなのだけど、自己愛臭は抑えられているので我慢できる。

 こうした安定感はしかし、ちょっとした不満にも繋がる。人物配置や動かし方、定石のハズシなど、巧過ぎて白けるところなきにしもあらず。でもまあ、オヤッサンまっしぐらなホーク、いつになく色っぽいバーン、自分勝手でも憎めないオダウドらキャストの魅力に免じて、大きく目を瞑ろう。大人になれない彼らの中に、どうしても自分を見てしまうのだった。





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