ザ・レポート

ザ・レポート “The Report”

監督:スコット・Z・バーンズ

出演:アダム・ドライバー、アネット・ベニング、ジョン・ハム、
   ジェニファー・モリソン、ティム・ブレイク・ネルソン、、
   ベン・マッケンジー、ジェイク・シルヴァーマン、マシュー・リス、
   テッド・レヴィン、マイケル・C・ホール、モーラ・ティアニー、
   ドミニク・フムザ、ノア・ビーン、ダグラス・ホッジ、コリー・ストール

評価:★★★




 エンターテイメントの世界で描かれる拷問というと、近年なら「24 -TWENTY FOUR-」(01~10年)」のそれが真っ先に思い浮かぶ。ジャック・バウアー捜査官によるテロリストに対する容赦ないそれが、物語の速度と緊迫をぐいぐい上げていく。…となると、拷問は正義だと勘違いしそうになるものの、もちろんそれは否定されるべきものだ。例えば『ザ・レポート』で描かれる拷問は、独善的で、不快を極める。

 屈辱を意味するイスラム教徒の髭を剃り落とすところから始まるそれは、衣服を脱がせ、大音量の部屋に放り込み、ストレスを誘う姿勢で固め、棺に閉じ込め、タオルを乗せた顔に水を流し込む。9.11で拘束したテロリストに対してのそれを執り行うのは、CIAだ。アダム・ドライヴァー演じるダニエル・J・ジョーンズが暴き出す実態が生々しく迫る。

 スコット・Z・バーンズは過去と現在を自在に行き来しながら、拷問と調査を淡々と組み合わせていく。時間により画面の色合いが変わり、静かな語り口にサスペンスが宿っていくあたり、スティーヴン・ソダーバーグを思わせる。…とバーンズはなんと、ソダーバーグと仕事の経験があるのだった。なるほど納得だ。

 ジョーンズは5年間に及ぶ調査の末に巨大なレポートを完成させる。その公表をめぐる攻防が後半の映画の表情に繋がる。CIAからはもちろん、大統領府からも厳しい圧力がかかる。ジョーンズが拘るのは、正規の手続きを経た上での公表だ。大手メディアからレポートの公開を持ちかけられても断る場面が印象的だ。国を守りたい。その思いだけはCIAもジョーンズ側も同じだという皮肉が描けている。

 ただ、ジョーンズを突き動かすものの正体がぼんやりしたままなのはどうか。最初は仕事でしかなかった拷問レポートの作成、ジョーンズはそれにいつしかとり憑かれたようにのめり込んでいく。正義心からだろうか。意地やプライドの問題だろうか。それとも拷問の持つ魔力だろうか。物語は拷問の是非を問い掛けるところか始まり、人のあるべき姿に想いを馳せる。そこに説得力を持たせるためには、ジョーンズの言動の燃料を明確にする必要がある。ジョーンズが物語の外に放り出されたままのエピソードが目立つ。

 ジョーンズの上司で、上院議員を務めるダイアン・ファインスタインに扮したアネット・ベニングがとても良い。ファインスタインは正義の板挟みになるだけではなく、その政治的立場ゆえの苦悩を抱え込む。ベニングはそこに潜む葛藤を立体的に見せる。やや芝居がかった立ち居振る舞いも役柄にぴたりハマる。





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