最高に素晴らしいこと

最高に素晴らしいこと “All the Bright Places”

監督:ブレット・ヘイリー

出演:エル・ファニング、ジャスティス・スミス、アレクサンドラ・シップ、
   ケリー・オハラ、ラマー・ジョンソン、ヴァージニア・ガードナー、
   フェリックス・マラード、ソフィア・ハスミク、
   キーガン=マイケル・キー、ルーク・ウィルソン

評価:★★




 「色んな色が混じり合って、明るいんだ(You are all colours in one, at full brightness)」。ジャスティス・スミスがエル・ファニングの良いところとして挙げるときのセリフだ。的を射た分析で、かつなかなか詩的ではないか。ファニングがスミスに惹かれてしまうのも分かろうというもの。ぼんやり好きな相手を眺めるだけでは伝わるものも伝わらない。

 『最高に素晴らしいこと』でファニングは、またしても魅力を爆発させる。物語が流れるに従い、その圧倒的に透明な個性が、それこそ様々な色に染まっていく。いずれの色もすんなりファニングの肌に馴染む。湖の底に沈んだような気分のときも、小さな希望を見つけるときも、絶望に打ちのめされるときも、そこから立ち上がるときも…ファニングはその色の前で無理をせず、自分のそれとして差し出す。丸メガネも可愛い。

 大人に混じった作品が多いファニングが、ティーン映画特有の気恥ずかしくも溌剌した場面に挑む。自転車を漕いで名所巡り。窓に石をぶつけてのお誘い。家の前で待ち伏せ。いっぱいの花のプレゼント。小さな崖から湖へジャンプ。手作りジェットコースターで絶叫。田舎町ならではの微笑ましさで、でもそれがファニング(やサカナ顔のスミス)に合っている。

 ただし、やっぱりか、脳天気には終わらないのがファニングだ。姉を交通事故で亡くしているという設定で、いつも翳りを帯びている役どころ。スミスと親しくなることで、ファニングは自身で止めてしまった時計の針を再び動かすことを選ぶ。そのグラデーションこそが前半の見もの。鮮やかなるそれは、間違いなく可愛らしく、美しい。演技者としても充実したときにいるのがファニングだ。

 さて、問題は後半だ。単純なティーン映画はつまらないとばかりに大きな捻りが入る。序盤から意味深に挟まれてきたスミスの問題が前面にせり出し、映画から軽やかさが奪われてしまうのだ。スミスがファニングに興味を抱いた理由が明らかになり、トラウマを克服しつつあるファニングと実はさほど状況が変わっていないスミス。ふたりのバランスが崩れていくあたり、それこそを見せたいのだろうけれど、強引が過ぎる。

 作り手が物語を語る上で常に念頭に置いたのはおそらく「自殺願望」という言葉のはずで、それをどう描くか、その答えが後半部にあるのだろう。ただ、それならば前半から少しずつでもスミスの言動に根拠を示すべきだし、その過去の痛みやファニングの友人の別の一面にも触れておくべきだった。全てが唐突で、泣かせは無理矢理。ファニングの辿り着く境地は分かったようなそうでないような。落ち着かない気分だけが残るのも無理はない。





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