ジュディ 虹の彼方に

ジュディ 虹の彼方に “Judy”

監督:ルパート・グールド

出演:レニー・ゼルウィガー、ジェシー・バックリー、
   フィン・ウィットロック、ルーファス・シーウェル、
   マイケル・ガンボン、ダーシー・ショウ、ロイス・ピアソン

評価:★★




 ジュディ・ガーランドと言ったら「オズの魔法使」(39年)と「スタア誕生」(54年)だ。私生活の乱れも良く知られるあたりは大スターの証だろうか。『ジュディ 虹の彼方に』はガーランドの晩年にフォーカスする。悪評が祟り仕事がなく、困窮を極め、おまけに離婚劇が泥沼化、起死回生とばかりにロンドン公演に賭ける様を追いかける。

 …というわけで、伝記映画にありがちな栄光と没落をダイジェストで描くのは回避される。ただし、回避が正しかったか、判断に迷うところだ。ガーランドがちっとも魅力的に見えないからだ。ここに出てくるガーランドは人生が巧く回らないことを他人のせいにしてギャアギャア騒ぎ続ける女だ。「どうして何もかも上手く行かないの?」と叫び続けるだけのガーランドをファンはどう思うだろうか。

 公演前日でもろくにリハーサルしないガーランドは、開演ブザーが鳴ってもステージに上がるのを拒否する有様。ただし、一度ステージに出てしまえば、天性の才能で人々をたちまち魅了する。…これが作り手のガーランド像で、これを魅力的に見せるにはガーランド自身のカリスマ性を掴まえなければ嘘だろう。そしてここではそのカリスマ性を主演のレニー・ゼルウィガーに全て任せてしまった。

 確かにゼルウィガーのステージパフォーマンスは悪くはない。ゼルウィガー自身の長い低迷期とガーランドの現状がオーヴァーラップ、ゼルウィガーが自ら歌もこなしていることもあり、なかなかのステージ映えだ。メイクはガーランドというより(やっぱりあの離れ目がないとね)晩年の淡谷のり子先生みたいなんだけど、そこは大きく目を瞑ろう。ただ、人物と物語の魅力不足とパフォーマンスの出来の乖離は相当なもの。これは、ゼルウィガーに感心しつつガーランドに呆れてしまう、と見るのが正しい。

 精神的にマイっているガーランドの心の空洞は子役時代からかけられてきた尋常ではないプレッシャーが原因だったというのが作り手の解釈で、しかし、度々挟まれる子役時代場面は無自覚の児童虐待の域を出ない。つまり過去と現在が密着しないということで、となると過去がガーランドの言い訳のように見えてくる。

 敗因は練り込み不足の脚本か。ラストシーン、この期に及んでステージで歌えなくなるガーランドに訪れる奇跡には、作り手のガーランドへの万感の思いが込められている。ガーランドの熱狂的なファンだというゲイカップルも絡んだこの件がとってつけたような感動しか残さないあたり、その罪はかなり大きい。





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