母との約束、250通の手紙

母との約束、250通の手紙 “La promesse de l'aube”

監督:エリック・バルビエ

出演:ピエール・ニネ、シャルロット・ゲンズブール、
   ディディエ・ブルドン、ジャン=ピエール・ダルッサン、
   キャサリン・マコーマック、フィネガン・オールドフィールド

評価:★★★




 『母との約束、250通の手紙』はフランスの作家ロマン・ガリの自伝を基にした映画だという。例によって、才能豊かであるがゆえに孤独で、繊細で、そして苦悩に満ちた人物を語るのかと身構えるものの、ここにはそういった定番は見当たらない。と言うか、伝記映画の気配は薄い。狙い撃ちされるのは、ガリと母親の関係だ。

 シャルロット・ゲンズブール演じる母親の人物像が強烈だ。ロシアからポーランドへ幼い息子(後のガリ)と流れ着いたユダヤ人の彼女は、常に息子にプレッシャーをかける。いつかはフランス大使、作家、外交官になるのよ。全く持って迷惑なそれであるものの、幼い命はそれに逆らう術を知らない。斯くしてまたあるときには、「母親が侮辱されたら担架に乗って帰って来なさい」なんて言われるのだ。母、怖いよ。

 深い愛情…が狂気と密着するところが見せ場だ。無償の愛の変化形。歪んだそれというよりは、どんな母親もそれに似た狂気を秘めているとの解釈で語られる。ポーランドで服飾デザイナーとして名を挙げ、フランス、ニースでホテルを開業し、息子を軍に送り込む彼女は、とっつきやすくはなくとも、確かに「母親」だ。ゲンズブールが全身で体現する。

 戦争が始まると、母親は奥に引っ込む。成長した息子はパリ、ロンドン、アフリカと居住地や任務地を移動させるからで、けれどちっとも母親の存在感が薄くならないのが可笑しい。今度は息子の母への愛情が、狂気めいたものを感じさせるようになるのだ。ピエール・ニネの漫画みたいに大きくキラキラした目に時折常軌を逸したものが宿る。母の愛は確かに息子に送り届けられている。

 戦争により母と息子の距離は遠くなる。彼らを繋げるのが手紙で、ここが泣かせになるものの、何と言うか、「真相」が読めてしまうのが辛いところ。息子の前に幻想として現れる際の狂気をもっと突っ込んでも良かったかもしれない。ちょっと綺麗にまとめようとし過ぎたのではないか。

 興味深く観た場面をふたつ挙げる。ロンドンで一方的に喋りまくる詩人女に嫌気が差していたガリが、あることをきっかけに彼女のために闘う場面。そして、アフリカで足を怪我した老女を村に送り届ける場面。どちらも息子が女たちに母親の姿を見ていることは明白。男という生き物と母親の関係が生々しく映し出される。そして男が女とどう向き合うかは、母親との関係が物を言うことを暗示しているかのようだ。





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