クロース

クロース “Klaus”

監督:セルジオ・パブロス

声の出演:ジェイソン・シュワルツマン、J・K・シモンズ、
   ラシダ・ジョーンズ、ウィル・サッソー、ネダ・マルグレーテ・ラバ、
   ノーム・マクドナルド、ジョーン・キューザック

評価:★★★★




 舞台となるスミレンズブルクという名の孤島は、怒りと憎しみの町と言われる。雪に覆われ凍える寒さが人を変えてしまったのか、ふたつの民族が常に争っている。争いに意味はない。先祖代々続いているから、それが理由だ。だから驚く。これがサンタクロース誕生秘話だなんて…。『クロース』というタイトルも物語の最初に断りを入れるのもなかったら、きっともっと驚いただろう。

 根性を叩き直す目的でスミレンズブルクにひとりのポストマンがやってくる。彼がおもちゃ職人でもある木こりと出会うところから物語が動き出す。ポストマンの成長ストーリーとして始まった物語はしかし、いつしかバディムービーの趣を湛え始める。木こりの名はクロース、ポストマンの名はジェスパー。ふたりがスミレンズブルクの町を変えていくのが愉快痛快。

 その過程で散りばめられるサンタクロース神話を思わせるエピソードの数々が楽しい。おもちゃを配ることになった理由。真夜中。煙突。靴下。トナカイ。良い子悪い子リスト。Ho-Ho-Hoの笑い声。エルフ。空を飛ぶイメージ。幼い頃から慣れ親しんできたサンタクロースがサンタクロースである理由。そこには慈悲と密着した驚きと喜びが溢れている。

 もちろん分断の時代を意識しているだろう。他人の洗濯物を意図的に汚し、通行人の頭に植木鉢を落とす。鐘の音は戦いの合図だ。それを喜びとしていた人々が変わって行く様に、作り手の今という時代への祈りが感じられる。憎しみと怒りは、子どもの笑顔をきっかけに、温かなものへと形を変えていくのだ。本当に欲のない言葉は人の心を動かす。人に優しくする。ただ、それだけが胸に沁みる。これこそクリスマス・スピリットというものだろう。

 実はスペイン製であるこのアニメーション映画、2Dで作られているものの、濃淡が意識され、光と影が巧みに取り入れられているからだろう、立体性を感じる画が並ぶ。グレーだった町が明るい色を取り戻していくのが気持ち良い。明るいと言っても蛍光色ではない。ランプの光で照らしているような慎ましい明るさなのが題材にぴったりだ。

 ところで、クロースはただの優しい靴職人ではない。巨体と白い髭をまとったジイサンには翳りがつきまとう。これがまたサンタクロース神話に味を添えるわけだけれど、ジイサンが抱え込む淋しさは優しさにも直結していることを忘れてはいけない。哀しみというものに対する向き合い方に温もりがある。だからサンタクロースは誰からも愛される。





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