パリの恋人たち

パリの恋人たち “L'homme fidèle”

監督・出演:ルイ・ガレル

出演:レティシア・カスタ、リリー=ローズ・デップ、ジョセフ・アンジェル

評価:★★★




 別に映画的な何かが起こるわけではない。アッと言わせる驚きに満ちているわけでもない。男ひとり、女ふたり、そして子どもがひとりいて、ただそれだけの話。ただそれだけでもしかし、悪くないおフランス映画は魅せてしまうものだ。魅せられない場合は目も当てられない惨劇になるわけで、だからおフランス映画に退屈なイメージを持つ人が多いのかもしれない。

 『パリの恋人たち』は成功例だ。例えばタイトルが出るまでの五分ほどで主人公のルイ・ガレルは恋人のレティシア・カスタからフラれてしまう。そして呟く。「彼女を忘れるため別の女と寝た。翌朝忘れたのは、その女だった」。セリフが凝っていて、面白い。

 加えて、その量。心の声を言葉にするのはガレルだけでなく、カスタやリリー=ローズ・デップもまた、次から次へと喋りまくる。普通これだけ喋ると画面が言葉で埋め尽くされ息苦しくなりそうなものなのに、セリフやその回し方に独特のリズムがあるからか、不思議と軽やかさが失われない。若干のもどかしさにリズムが勝ってしまうのだ。

 生活感が臭くならない。食事場面がある。おフランスに対してオシャレなイメージを膨らませる人も多いと察するけれど、彼らが食べ物を口に運ぶ画を見て毎度思い浮かべる言葉は「獣」だったりする。衣食住が生活の中に確かに息づき、かつ地に足をつけている人というのは、何かしらのニュアンスを感じさせるものだ。

 子どもが言葉にする「ママがパパを殺した」というミステリーは、話の愉快な調味料だ。序盤で謎の自然死を遂げる男。姿を一切見せない彼の存在が頭に残ることで、単純な三角関係に適当な揺さぶりがかけられる。かと言って、重くはならないのが良い。あくまで話に刺激を与える程度なのがポイントだ。

 監督も兼任したガレルが良かったのは、肩の力を抜いた演出ができたところだろう。私生活のパートナーでもあるというカスタを相手役に自身が主演、気負いなく、短編小説風のエピソードの数々を色づけする。ますます母ヴァネッサ・パラディに似てきたデップも出過ぎず霞まずで可愛らしい。75分にかけられたパリの魔法の効きは、程良くスウィートだ。





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