ライフ・イットセルフ 未来に続く物語

ライフ・イットセルフ 未来に続く物語 “Life Itself”

監督:ダン・フォーゲルマン

出演:オスカー・アイザック、オリヴィア・ワイルド、マンディ・パティンキン、
   オリヴィア・クック、ライア・コスタ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ、
   アレックス・モネール、アネット・ベニング、アントニオ・バンデラス、
   ジーン・スマート、サミュエル・L・ジャクソン

評価:★★




 最近のTVシリーズで断トツに面白いのは「THIS IS US」(16年~)だ。イイオトナの三兄妹(三つ子)がいる家族の物語を、ことさらドラマティックに飾り立てることなく、しかし、人生の機微を慎ましく感じさながら描き出す。『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』はこのシリーズに深く関わるダン・フォーゲルマンが長年温めてきた企画らしい。狙うはズバリ、「THIS IS US」の夢を映画で再び、だろう。

 実際、作品を包み込む落ち着いた空気、流れる音楽とその使い方、時空を超える物語構成など、「THIS IS US」を強く意識したと思われる。けれど、伝ってくるものはまるで違う。「THIS IS US」のしみじみと胸に沁みる温かさや痛さが、何とまあ、不快さに変換されているではないか。

 冒頭から癇に障って仕方ないエピソードや演出の連打だ。人気俳優の甲高い声による登場人物紹介。セラピストとの面談による心象探り。コーヒーショップでギャアギャア騒ぐ男。突然過ぎる交通事故。エピソードのからくりを明かして得意気になる作り手の顔。どうだ、まいったか。

 おそらくTVシリーズとは違うことをしよう、差別化を図ろうと取り入れた試みが、全て裏目に出ているのだ。例えば、登場人物の心を全て晒してしまうのが鬱陶しい。ナレーションを中心に少なくない登場人物の心が、開けっ広げになる。分かり易くて良い?まさか。謎をなくした人間たちは、想像できる未来に向かって一直線。人にはそれぞれ物語があるという主張と一緒くたになり作為が前面に出る、という不幸のおまけつき。

 人生の悲劇的側面にばかり光を当てるのも辛い。「THIS IS US」は厳しい人生の中にある驚きや歓び、或いは奇跡が大切にされるのに対し、ここでは人生の哀しみを強調、しかしそれを乗り越えた先には明るい未来が待つと説く。そこには人生の不思議も詰まっているという。その装飾が過ぎて、おめでたくすら見える。ラストに明かされる「関係」など、何かの冗談としか思えないバカバカしさだ。

 終わってみれば、物語バランスも狂っている。ニューヨークとスペインを繋げる物語は、いずれも「主役」のそれなのに、結局ニューヨーク編がスペイン編の長過ぎる前振りとしてしか機能しない。スペイン編のヒロイン(ライア・コスタ、悪くない)のハートが映画の命で、それを伝えたいがために全てがあるようだ。これでは「THIS IS US」のイミテーション、それが結論になる。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク