ブライトバーン 恐怖の拡散者

ブライトバーン 恐怖の拡散者 “Brightburn”

監督:デヴィッド・ヤロヴェスキー

出演:ジャクソン・A・ダン、エリザベス・バンクス、デヴィッド・デンマン、
   マット・ジョーズ、メレディス・ハグナー

評価:★★




 とある田舎町の農場で暮らす、子どものいない夫婦。ある日彼らの下に、宙から宇宙船に乗った赤ん坊の男の子がやってくる。男の子は夫婦に引き取られすくすく育つ。ただし、彼の名前はクラークではない。ブランドンだ。もちろん狙い通りの設定だ。『ブライトバーン 恐怖の拡散者』は男の子の心に芽生えるのが善なるものではなく、悪意に満ちたものだったらと問い掛ける。

 思春期特有のもやもやをホラーとして提示する。子育てにおける難しさも意識しているだろう。ブランドンは己の潜在能力に気づいたときから、急速に悪の心を解放させていく。好きな女の子に冷たくされたという理由で、自分が悪いのに怒られたことに腹を立てて、周辺人物を血祭りにあげていく。その行為は青春のメタファーだ。なるほど。

 なるほどしかし、それよりもヒーロー映画のパロディ的側面ばかりが前面に出てくるのはどういうことか。大抵のヒーロー映画の主人公の逆を行く悪行の数々は、超人的能力が人類にもたらす別の可能性を示す。スーパーマンだったらそうするのに。スパイダーマンだったらきっとこうだ。ワンダーウーマンならハートを忘れない。そういう思いが常にちらつく。

 そしてそれは多分、逆算の演出から来ているのだ。ヒーローたちはこう動くはずだ。ならばブランドンはこう動かそう。ヒーローの心とは何か。ではブランドンが心に灯すものはこうだ。単純な逆算が演出の暴力過剰を招き、恐怖よりも痛みの追求に熱心だ。そしてそれは、風刺を失った笑えないパロディの域に留まる。

 子どもが悪意を露わにする映画と言ったら、「オーメン」(76年)を思い出す。なるほどそちらとの比較も可能か。ただし、少年自体から発せられる恐怖はほとんどない。演じる少年俳優が妙に冷静な佇まいを崩さず、まるで「仕事」のように事を進め、親たちがそれに慄くばかりだからか。少年の悪意と両親の底知れぬ愛を衝突させることで生まれるものが見られないということだ。

 尤も、この映画を観た後では、その他のヒーロー映画の多くに慎重になる…という影響は出るかもしれない。物事は社会に都合良く動かない。いかにも善良な笑顔を振りき蒔きながら、ヒーローたちが正義とはかけ離れたことを考えていたとしたら?実は「バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生」(16年)はその点を突いた映画だった。ただし、その試みは失敗に終わる。もしかしたらそれに業を煮やした作り手の回答がこの映画なのかもしれない。同じようにとても成功とは言えないのだが…。





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