BEST 2019

2019年 BEST10


1. ROMA ローマ “Roma”
 監督:アルフォンソ・キュアロン
 出演:ヤリーツァ・アパリシオ、マリナ・デ・タヴィラ
 ヒロインの個人史とメキシコの文化や時代の流れが美しく融合。モノクロ映像が醸し出す詩情は、同時に親密さを伴う。

2. ゴッズ・オウン・カントリー “God's Own Country”
 監督:フランシス・リー
 出演:ジョシュ・オコナー、アレック・セカレアヌ
 ヨークシャーの風景や人間の肉体に注意を向け、男ふたりの心象を繊細に描き出す。言葉よりも雄弁な映像の説得力。

3. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド “Once Upon a Time... in Hollywood”
 監督:クエンティン・タランティーノ
 出演:レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー
 タランティーノの記憶が映画の夢と共鳴する幸福に浸る。映画と映画を愛する人への敬意をこんな風に魅せるとは…。

4. ブラインドスポッティング “Blindspotting”
 監督:カルロス・ロペス・エストラーダ
 出演:ダヴィード・ディグス、ラファエル・カザル
 ヒップホップのリズムを体得したふたりが度胸とユーモアを持って現実に立ち向かう。ファンキーに浮上する希望に共感。

5. ファイティング・ファミリー “Fighting with My Family”
 監督:スティーヴン・マーチャント
 出演:フローレンス・ピュー、ジャック・ロウデン、レナ・ヒーディ、ニック・フロスト
 行儀良さが弱点の英国労働者階級映画にプロレス技で揺さぶりをかける快感。兄の挫折が最高の隠し味。

6. アイリッシュマン “The Irishman”
 監督:マーティン・スコセッシ
 出演:ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシ
 情念が入り混じりダイナミックでありながら詩的な画が並ぶ。「静」の魅力で押す名監督、名優たちが熱い。

7. アス “Us”
 監督:ジョーダン・ピール
 出演:ルピタ・ニョンゴ、ウィンストン・デューク
 ドッペルゲンガーの襲来に革命性が宿り、監禁ホラーがアイデンティティーにまつわる問題を炙り出す。クレヴァー!

8. マリッジ・ストーリー “Marriage Story”
 監督:ノア・バームバック
 出演:アダム・ドライヴァー、スカーレット・ヨハンソン、ローラ・ダーン、アラン・アルダ
 様々な対立軸を積み重ね織り上げられる離婚が、いつしか結婚や希望に通じていく。脚本の技を堪能。

9. ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた “Hearts Beat Loud”
 監督:ブレット・ヘイリー
 出演:ニック・オファーマン、カーシー・クレモンズ
 夢を捨てきれない父と冷静な娘がバンドを組む。程良いケミストリーにより空気が熱を帯びる。万事程良く気持ち良し。

10. クロール 狂暴領域 “Crawl”
 監督:アレクサンドル・アジャ
 出演:カヤ・スコデラリオ、バリー・ペッパー
 観客を思う工夫を散りばめ、突っ込み所から放たれる輝きを無駄にしない、これぞ正しくB級映画。たまにはこんな映画もイイね。

次点. 女王陛下のお気に入り “The Favourite”
 監督:ヨルゴス・ランティモス
 出演:オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ、ニコラス・ホルト
 女たちの絶妙のパワーバランスをいかに画面に映えさせるかに心を砕く演出が正解。朽果てん匂いまで立ち上がる。

次々点. ブラック・クランズマン “BlacKkKlansman”
 監督:スパイク・リー
 出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライヴァー
 憎しみが怪物に変態する恐怖と真っ当な精神が衝突。映画の技が炸裂し、浮かび上がる言葉は「ファンキー」!



■その他のBEST10選考作品
『ファースト・マン』『アクアマン』『シンプル・フェイバー』『バンブルビー』『ヘイト・ユー・ギブ』『COLD WAR/あの歌、2つの心』『ワイルドライフ』『ある女流作家の罪と罰』『エイス・グレード世界でいちばんクールな私へ』『バスターのバラード』『ルディ・レイ・ムーア』



◆BEST ACTOR
 アダム・ドライヴァー(マリッジ・ストーリー)
★タロン・エガートン(ロケットマン)
 ジェイソン・モモア(アクアマン)
 エディ・マーフィ(ルディ・レイ・ムーア)
 ジョシュ・オコナー(ゴッズ・オウン・カントリー)

 他作品を観て歌えることは知っていたが、これほどとは。エガートンはエルトン・ジョンの楽曲を歌いこなしただけではない。モノマネに走ったわけでもない。生きる伝説の心象を怪物的に盛り上げるのではなく、傷つきやすくデリケートなハートを掴まえて見せる。それをパフォーマンスに反映させるのが芸術的なのだ。そこには娯楽精神もたっぷりある。伸び盛りの若者を眺めるのは、最高の贅沢だ。


◆BEST ACTRESS
 リンダ・ハミルトン(ターミネーター:ニュー・フェイト)
 スカーレット・ヨハンソン(マリッジ・ストーリー)
 メリッサ・マッカーシー(ある女流作家の罪と罰)
 ルピタ・ニョンゴ(アス)
★フローレンス・ピュー(ファイティング・ファミリー)

 どこまでも王道を行く映画のヒロイン。それがどこまでも気持ち良く見られたのはピューのニュアンス豊かな表情があったからだ。顔の表情だけではない。肉体の表情も極めて雄弁なのだ。田舎でくすぶり、夢を掴み、しかし挫折し、そしてそこから這い上がる。ベタが何故愛されるのか、それを証明するかのように生き生きと跳ねる。兄役ジャック・ロウデンとのケミストリーも最高。


◆BEST SUPPORTING ACTOR
 ニコラス・ホルト(女王陛下のお気に入り)
★ブラッド・ピット(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)
 ジャック・ロウデン(ファイティング・ファミリー)
 アレック・セカレアヌ(ゴッズ・オウン・カントリー)
 ウェズリー・スナイプス(ルディ・レイ・ムーア)

 思えばピットは若い頃から作家性の強い監督作と縁があった。これぞスターパワーの有効活用。中でもクエンティン・タランティーノとの出会いがいかに重要だったか。ハリウッド黄金期が終わりを迎えようというとき、映画への希望と失望を同時にまとうスタントマンをこんなにも魅力的に見せようとは。今度は美しい容姿と肉体の有効活用。映画史に残るクライマックスを大いに盛り上げた。


◆BEST SUPPORTING ACTRESS
 ハル・ベリー(ジョン・ウィック パラベラム)
 レベッカ・ファーガソン(ドクター・スリープ)
 ブレイク・ライヴリー(シンプル・フェイバー)
★マーゴット・ロビー(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)
 エマ・ストーン(女王陛下のお気に入り)

 スター俳優が輝くとき、それは役柄と本人の個性が一体化したときだ。観客は演技だと承知しつつ、あたかも素の本人を目撃しているかのような錯覚に陥る。今回のロビーはまさしくそれだ。シャロン・テートとして60年代を颯爽と歩きながら、その眩き輝きはロビー本人のものとして獲得される。タランティーノからの贈り物もあり、少ない登場時間、全てで場をさらう。2019年最も幸せな女優だ。


◆BEST BREAKTHROUGH ACTOR
 ラファエル・カザル(ブラインドスポッティング)
★ダヴィード・ディグス(ブラインドスポッティング)
 ジョン・デヴィッド・ワシントン(ブラック・クランズマン)

 ディグスが見事なのは身体に沁み込んだヒップホップのリズムを演技に刻むことができるからだ。それも肌の色の違うカザル相手に、だ。人種差別にまつわる極めてナイーヴな問題を炙り出すそれのデリケートなこと。もちろんそれを受けるカザルも素晴らしい。


◆BEST BREAKTHROUGH ACTRESS
 ザジー・ビーツ(ジョーカー)
 ジュリア・バターズ(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)
★エルシー・フィッシャー(エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ)

 何ともまあ、痛いヒロインが出てきたものだ。しかも彼女はたったの14歳と来ている。生きる難しさが本格さを増す年頃のリアルがこんなにも生々しくなったのは、ひとえにフィッシャーの思い切りゆえ。この大胆さは将来、きっと財産になる。フィッシャーのニキビに乾杯。



【2019年BEST10をふりかえって】
 映画は劇場で観るのがベストだ。間違いない。だから劇場公開をスルーしたインターネット配信ベースの作品をどう扱うべきか、大いに迷うところだ。つまらなければ選考の余地もなく問題ないのに、あぁ、しかしNetflixを中心にそのクオリティは高いと来ている。無視するのは忍びない。同社には何とか大々的に劇場でも観られる環境を探って欲しい。『ROMA ローマ』がベストなのは幸運にも充実した環境で観られたことも大きいのだ。





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