モーグリ:ジャングルの伝説

モーグリ:ジャングルの伝説 “Mowgli”

監督・声の出演:アンディ・サーキス

出演:ローハン・チャンド、マシュー・リス、フリーダ・ピント

声の出演:クリスチャン・ベール、ベネディクト・カンバーバッチ、
   ナオミ・ハリス、ピーター・ミュラン、ジャック・レイナー、
   エディ・マーサン、トム・ホランダー、
   ルイス・アッシュボーン・サーキス、ケイト・ブランシェット

評価:★★




 どうしたってディズニー版「ジャングル・ブック」(16年)と比較したくなる。ラドヤード・キップリングの小説の映画化としては、決定版の趣があったからだ。差別化を図るにはどうしたら良いだろう。そうしてアンディ・サーキスが選んだのは、世界観をシリアスに語ることだった。そう、昨今ハリウッドに蔓延る、深刻に演出すればドラマが生まれると勘違いする、アレだ。

 果たして『モーグリ:ジャングルの伝説』には生々しい描写が連続する。ハイエナの周りにはハエが飛び交い、ジャングルの中には動物の死体がゴロゴロ。無意味な暴力が溢れ、人間の残酷さも容赦がない。何と言うか、明朗な魅力が見事に消え去り、動物に育てられたモーグリが現実に打ちのめされることで成長していくハードな側面が強調される。これが憂鬱の正体だ。

 そう、モーグリがもがく。もがくだけならまだしも、暗黒面を次々露わにしていく。もっと簡単に言うと、人間なら誰しもが持っている嫌な部分を誇張して描かれるのだ。一緒に育った気心の知れたオオカミに「君は失敗作なんだ」と言い放つ場面など、哀しさを通り越して、ゾッとする。動物たちとは本当の意味で仲間になれない苦悩を描くがために、モーグリをこんな風に装飾する必要があるのかどうか。

 人間の村で暮らす場面が多くなったのは必然か。最初は人間からも受け入れられないモーグリには心が痛むけれど、やっぱり生まれ育ったジャングルが良いと原点に立ち返るにあたり、その心の闇を強く広げていくように見えるのはどうなのか。ジャングルを混乱に導くトラを「殺そう」とサラっと言ってのけるのが、何だか違う気がしてしまうのだ。

 ところが、悪役のトラや猟師がある結末に至るにあたり、物語の語り手は「平和」が戻ったことを祝い始めるではないか。モーグリのダークサイドが解放されただけにしか見えないのに、あぁ…。そしてその頃には動物たちもモーグリを仲間だと認めている。いや、パッと見た感じ、モーグリの恐ろしさを痛感し、ここは従うしかないと平伏しているみたいだ。いやー、ホント、大丈夫か。

 画柄で気になるのは動物たちの顔だ。物語が一定の現実感を大切にする中、何故だか動物たちの顔は人間風のデザインだ。おそらく目の見せ方が人間のそれに似ていることから来ている。これが可愛くない。いや、実際の動物も問答無用で可愛らしいのは子ども時代だけだから、これが本当なのかもしれないものの、さすがにこれは夢がないのではないか。そして呟くのは、これは「ジャングル・ブック」じゃないという冷めた言葉になる。例えこれが原作により近いものだったとしても…。





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