永遠の門 ゴッホの見た未来

永遠の門 ゴッホの見た未来 “At Eternity's Gate”

監督:ジュリアン・シュナーベル

出演:ウィレム・デフォー、ルパート・フレンド、マッツ・ミケルセン、
   マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、アンヌ・コンシニ、
   オスカー・アイザック、ニエル・アレストリュプ、ヴァンサン・ペレーズ

評価:★★




 30代で死んだはずのフィンセント・ファン・ゴッホを60代のウィレム・デフォーが演じるとはどういうことか。もしかしてキワモノ映画なのか。…と疑うのはもちろん早計だ。ゴッホにしてもジュリアン・シュナーベル監督にしても年齢は数字でしかなく、ほとんど意味のないものなのだろう。目の前に何が広がるか、それが全て。

 ゴッホに関する逸話…と言うか、ほとんど伝説は色々あるものの、そういう類を追いかけ、真実を炙り出そうという伝記映画ではない。生前は画家として認められなかったゴッホが、世界をどんな風に見ていたのか。それを映画監督であると同時に画家でもある己ならではの話法で描きたい。それがシュナーベルの『永遠の門 ゴッホの見た未来』の狙いであるはずだ。

 そうして創造される空間は、それこそゴッホの名画の数々を思わせる独特の色彩バランスだ。ゴッホの愛した黄色も、時に沈んだ青も、風や匂い、天候や気温等と密着した自然と共鳴、詩情を漂わせながら、ゴッホがゴッホであることを魅せていく。観る者は空間に迷い込む。追体験がキーワードだ。

 ただし、こういう飛躍は時折自己満足に通じてしまうもので、膨らむところまで膨らんだ想像力が、ほとんど観客を無視したところまで行くと、美しいだけの退屈を生み出す。補強するのはゴッホの視点という名目で揺れまくるカメラとテレンス・マリック映画風に煩い音楽だ。次第に陶酔の表情を浮かべるシュナーベルまで見えてくる。

 するとゴッホを演じるウィレム・デフォーが活きない。麦わら帽子に安手の作業服を装着、画材を背負って田舎風景をとぼとぼ歩くデフォーが醸し出す穏やかな気配は、それだけで楽しい。しかし、演出を凝り過ぎたがためにそれを味わうことに集中できないというおかしな事態。顔のクロースアップの多用も、この場合力にならない。ゴッホの肉体全体を包み込む空気を感じたい。

 ゴッホは新しい光を見つけたいと場所を転々とする。色々な人物に出会う。その中にはポール・ゴーギャンもいる。ゴッホがゴーギャンに心酔し南仏のアルルへ移り住んだことは良く知られているし、その後の別れも同様だ。この部分に焦点を当てた話に絞っても面白かったか。ゴーギャンの視点も用意すれば、シュナーベルももう少しゴッホから距離を置いて語ることができたかもしれない。





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