ダンプリン

ダンプリン “Dumplin'”

監督:アン・フレッチャー

出演:ダニエル・マクドナルド、ジェニファー・アニストン、
   オディア・ラッシュ、ベックス・テイラー=クラウス、マディ・ベイリオ、
   ルーク・ベンワード、ハロルド・ペリノー、ヒラリー・ベグリー

評価:★★★




 テキサスの田舎町のミスコンを舞台にした『ダンプリン』が掲げるテーマは明確だ。冒頭で語られるからだ。斯くして物語は、ご機嫌なドリー・パートンの歌声に彩られながら、おデブなヒロインが「自分が何者かは、他人じゃなく自分が決める」ということを証明する。

 ミスコン女王の母親から、ヒロインは「ダンプリン」と呼ばれる。肉入りの蒸し団子のことで、転じて背が低くて太った人を意味する。母親に悪意はなさそうだけれど、その彼女がミスコンに挑む。…とは言え、男尊女卑社会の名残りと揶揄されることの多いミスコンへの批判を目指した映画ではない。矛盾は指摘されるものの、自分らしくあること、その意味の問い掛けが見失われることはない。

 ダンプリンは死んだ叔母の弔いとミスコンへの抗議の意味でミスコン参加を決めるものの、最もくっきり浮かび上がるのは、世間一般の平凡で平面的な美の基準ではなく、それを軽蔑していたはずのダンプリン本人の中にある美に対する歪んだ憧れだ。周辺人物との掛け合いの中にそれが見えてくるのが、なかなか巧い。

 ダンプリンと同じくミスコンに場違いな風貌であるゴス娘と能天気おデブ。誠実で優しく、かつダンプリンに好意を見せるバイト先の男の子。誰よりも自分を分かってくれる綺麗な容姿の親友。彼らとの掛け合いの中で、ダンプリンは己の中にも偏見があることに気づく。いや、気づかずにはいられない。そう、美とはそういうものなのだ。表面的な美を批判するのは容易い。けれど、頭では分かっていても、それに拘ってしまうのが人間ということだ。

 ダンプリンを演じるダニエル・マクドナルドは「シークレット・デイ」(14年)でその広い背中に狂気を感じさせた女優だ。それが今回、時に可愛らしく、時に美しく撮られていて、ズバリ魅力的。ダンプリンの知性に説得力を与え、笑うとジェニファー・ローレンス似であることを宣言する。カリカチュアされたミスコンママのジェニファー・アニストンとのケミストリーも上々だ。

 終始気持ち良く見られる中、終盤の大逆転劇でドラッグクイーンたちが前面に出てくるのは、かなりイージーな展開に思える。母と娘のドラマも少々食い足りないか。そして、ダンプリンが自分らしくあることを誇らしく思うのを讃えながら、それでもなお美しくありたい、格好良くありたいと願うことを否定できないあたりは…あぁ、ダンプリンと同じ偏見に囚われる自分自身の問題なのか。いや、それを越える大きな跳躍力の獲得を目標にしてこそ、辿り着ける境地があるはずではないか。





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