キング

キング “The King”

監督:デヴィッド・ミショッド

出演:ティモシー・シャラメ、ジョエル・エドガートン、ロバート・パティンソン、
   ベン・メンデルソーン、ショーン・ハリス、リリー=ローズ・デップ、
   トム・グリン=カーニー、トーマサイン・マッケンジー、
   ディーン=チャールズ・チャップマン、エドワード・アシュレイ、
   アンドリュー・ヘイヴィル、イヴァン・ケイ、スティーヴン・エルダー、
   ゲルゲイ・スチ、トム・ラクロワ、ジェレミー・シュヴィヨット

評価:★★




 ティモシー・シャラメが演じるのは後のヘンリー五世であるハル王子だ。冒頭、その彼のひょろひょろの半裸が連発される。今いちばん勢いのある若手スターのひとり、シャラメの今この瞬間の美しさを収めたい。その狙いは分かるものの、ウィリアム・シェイクスピア劇とは思えないグラビア風の画にイマイチ乗り切れない。

 『キング』はシェイクスピアの戯曲「ヘンリー四世」「ヘンリー五世」を基にしているという。正統な王位継承者でありながら放蕩生活を送っていたハル王子が、父親の急死により王位に就き、逞しく成長していく。もちろんその過程には、シェイクスピアらしい駆け引きや捻りが加えられていく。映画界は長年シェイクスピアを愛してきた。そしてそれに納得できる部分もある。ただ…さすがにお腹いっぱい。

 だから、よほど大胆な解釈がなされないと、既視感を覚える画が並ぶだけに終わる。デヴィッド・ミショッドは今回、何をポイントに置いたシェイクスピア劇にしたのだろうか。ひとつはやはり、シャラメの今を切り取ることだろう。そしてもうひとつは、極力ケレンを排した、生々しく現実感のある世界を創り上げることにあったのではないか。

 それは画の迫力よりも作り物感のない本物らしさを目指すことに通じる。例えば、戦闘場面を思い出すと良い。それが一対一のそれであれ、大人数同士のそれであれ、映画的なダイナミズムはほとんどないに等しい。撮影や編集の工夫次第でいくらでもドラマティックに見せられるだろうに、それを敢えて拒否、現実感に拘る。結果、漂うのは高揚感ではなく、陰惨さであり間抜けさだ。

 シャラメを始め、役者たちも抑えた演技を貫く。いくらでも大芝居ができるシェイクスピア劇だろうに、演劇的なセリフ回しは避けられ、あくまでナチュラルなそれが選ばれる。良い意味でも悪い意味でも分かり易いはずのシェイクスピアの世界が、曖昧で、でも本当らしく映る。問題はそれが魅力的か否か、ということだ。

 評価は割れるところだろうけれど、常に冷静な気分を誘うあたり、さほど効果的な見せ方とは言えないのではないか。甲冑に身を包み坊ちゃん刈りにしても現代的な空気に包まれるシャラメ。ヴァンパイアにしか見えないロバート・パティンソン。フランスとの対立の奥に見える古臭い価値観。作り手の自己満足の世界…の気配あり、だ。





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