ザ・ランドロマット パナマ文書流出

ザ・ランドロマット パナマ文書流出 “The Laundromat”

監督:スティーヴン・ソダーバーグ

出演:メリル・ストリープ、ゲイリー・オールドマン、アントニオ・バンデラス、
   ジェフリー・ライト、アレックス・ペティファー、メリッサ・ローチ、
   ジェフ・ミチャルスキー、ジェーン・モリス、ロバート・パトリック、
   デヴィッド・シュワイマー、クリステラ・アロンツォ、ラリー・クラーク、
   ウィル・フォーテ、マティアス・スーナールツ、
   ジェームズ・クロムウェル、シャロン・ストーン

評価:★★




 パナマ文書が世界を震撼させてから(いや、呆れさせてから)、もう3年以上経つのか。説明の必要はないだろう。法律事務所モサック・フォンセカから漏れた機密資料のことで、そこにはタックス・ヘイブンを利用した大企業や大富豪の税金逃れ、或いは犯罪者の資金隠しについて、細かに記されていた。スティーヴン・ソダーバーグは節税と脱税の薄い壁をどうのように崩していくのだろう。

 ソダーバーグが選んだ方法は「マネー・ショート 華麗なる大逆転」(15年)に近い。詐欺を企てた側、それを利用した側、被害に遭った側…事件の関係者を様々な角度から切り取り、それぞれの顛末を描き出すことで、その全容を語ろうというのだ。もちろんソダーバーグはコメディ仕立てを選ぶ。有り難い。

 冒頭から事務所のトップであるゲイリー・オールドマンとアントニオ・バンデラスが胡散臭く話しかけてくる(ふたりの演技が可笑しい)。小難しい話にはしないことを最優先にしたようで、大凡事件とは関係なさそうなナイアガラの滝での遊覧ボート転覆事件が描かれる。…と思ったら、メリル・ストリープが登場だ。彼女がジーンズとスニーカーで歩き回るのは、この映画、最大のブラックジョークだ。挙句、夫との馴れ初めまで頬を染めて語り始める。怖過ぎる。

 他にもおデブのルームメイトが父親と浮気したのに激怒する娘を中心にしたエピソードや中国で政治家の妻が英国人実業家を毒殺するエピソードなどが、縦横無尽に動く撮影と編集の技を使ってテンポ良く描かれるあたり、ソダーバーグの映画術は確かだ。少なくない登場人物の出し入れは鮮やかで、会話の節々に毒入りユーモアが滲むのも良い。役者が皆、芝居がかっているのも悪くない。

 …にも拘らず、この映画、ちっとも面白くない。ソダーバーグならではの技はキマッているし、パナマ文書事件を描く上で最善の方法を採っているようにも見える。なのに何故。観る側の理解力不足ももちろんあるだろうけれど、「マネー・ショート」との決定的な違いは、エピソードとエピソードを繋げる関節部分が弱いところだ。メディアが報じる事件の背後では何が起こっていたのか。その断片を並べ、けれど断片が断片のままでしか機能しない。望むのは断片がまた、別の断片に影響していき、それがいつしか巨大な何かを創り上げるところだというのに。

 要するに、物語性が極端に薄いのだ。もちろんそれは狙い通りなのだろうし、それが悪いわけではない。ただ、これならばドキュメンタリー仕立てにした方がよほど分かり易く伝えられるのではないか。資料はたっぷり出てくるだろうし、関係者のインタビューも取り易いはずだ。ストリープにヘンテコな演技をさせる必要も生じなかっただろう。ソダーバーグが目指すべきは事件を説明するのではなく物語を語ることだったのではないか。映画の技に感心しても、パナマ文書が違う角度から見えてくることが全くなく、もっと言うと、とても退屈だ。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ