ブローン・アパート

ブローン・アパート “Incendiary”

監督:シャロン・マグワイア

出演:ミシェル・ウィリアムス、ユアン・マクレガー、
   マシュー・マクファディン、ニコラス・グリーヴス、
   シドニー・ジョンストン、サーシャ・ベアール、エドワード・ヒューズ

評価:★★




 ロンドン、イーストエンドに住むアーセナルファンの父親と4歳の息子が試合を見に行く。その間、主人公である若い母親は向かいに住む新聞記者との情事に耽る。真剣な交際ではないがゆえの楽しいセックス。合体しているときにTVでサッカーの試合が流れていても気にならない。それが一転、スタジアムで予期せぬ大爆発が起こり、母親は全てを失ってしまう。その喪失感。まるでラース・フォン・トリアー監督の「アンチクライスト」(10年)を思わせる導入部だけれど、『ブローン・アパート』の母親はヒステリックに泣き叫んで終わりではない。記者のある発見をきっかけに、真相を解明しようとする。そうこなくっちゃ。

 ミシェル・ウィリアムスがやたら巧いおかげもあり、母が子を想う気持ちが鮮やかに浮かび上がっていく。どれだけ愛していたか。どれだけ後悔しているか。どれだけの喪失感に包まれているか。生きている軸となっているものが欠けてしまった人間の脆さ、そして強さをウィリアムスが繊細に伝える。

 ただしそれは、演技によってでしか効果的に見えてこない。「真相究明」の部分がいかにも浅いからだ。爆弾処理班として働いていた夫の上司(すっかりクマになってしまったマシュー・マクファディン)が隠している真相が驚くほどに退屈で、見かけ通りの箱が決して壊れない。意味深に記者に周辺を探らせ、しかもユアン・マクレガーに演じさせ、大きな陰謀が裏にあることを匂わせながら、とんだ腰砕けというものだろう。ナレーションは母親はオサマ・ビン・ラディンに向けた手紙になっているし、自爆テロ犯の家族の思いにまで踏み込んでいるのに、なってこったい。テロリズムへの真面目な向き合い方が映画的冒険を阻んでしまったか。いや、これは脚本の弱さと見るべきだろうか。

 それにしても、父親というのは哀しい生き物だ。母親は子を失ったことを嘆くばかりで、ちっとも父親を、夫を思い出そうとしない。幻覚を見る場面ですら全然出てこないとは…ほとんど意識して演出されているのではないか。とーちゃん、ガンバレ!

 さらに余談になるけれど、ウィリアムスとマクレガーが初めて出会うまでの流れは楽しかった。すごく自然で。2回目のセックスに雪崩れ込んでいくときの手際も見もの。ウィリアムスの誘い方が適度に淫らなのにニヤニヤ。事件前はファッションも愉快で、ジージャンにミニスカートというスタイルで、いつになく若々しいウィリアムスを拝むことができる。息子と睨めっこする場面は中川翔子にしか見えなかったのは、新発見である。





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