ユニコーン・ストア

ユニコーン・ストア “Unicorn Store”

監督・出演:ブリー・ラーソン

出演:サミュエル・L・ジャクソン、ジョーン・キューザック、
   ブラッドリー・ウィットフォード、マムドゥー・アチー

評価:★★




 オスカー女優になる前、ブリー・ラーソンはモテない男子の希望だった。決して誰もが認める美人ではないものの、人をハートで判断できる優しい女の子だった。だから主演も兼ねた監督デビュー作『ユニコーン・ストア』には面食らう。思い切りメルヘンな方向に話がぶっ飛んでいるからだ。監督デビュー作にはその人物の本質が如実に表れるという。えっ、本来のラーソンって、そっちだったの?

 画家になるという夢を諦め人材派遣会社で働くコピー係。それがラーソンの役どころだ。彼女が子どもの頃から飼いたいと思っていたユニコーンを手に入れるチャンスを得るという筋書きは、大人のためのファンタジーの様相。夢の持つ意味を、現実と衝突させながら描き出す。人間が夢と現実でできているとするなら、主人公は夢が七割、現実が三割と言ったところで、ラーソンのイメージとはまるで逆の割合だ。

 物語は夢を過大に評価しない。かと言って現実を崇めることもない。夢見がちな主人公は現実を身体の中に落とし込み、それでもなお夢の意義を掴み取る。この姿勢にこそラーソンのこれまでの人生が反映されているのだろう。ユニコーンを手に入れる条件として、一人前の人間であることを証明しなければならない。その作業が主人公を成長させるというわけだ。

 狙いは分かるものの、意外に頭でっかちな展開ではないか。ユニコーンを飼うのに相応しい小屋の建設。ユニコーンの生態についての詳しい学習。分かり合えない両親との関係の修復。会社でのプレゼン。現実寄りであれ夢寄りであれ、一人前になるための参考書でも用意したかのような折り目正しい展開で、イマジネーションの大切さを謳う映画にしては、ハートよりも頭を良く使う。

 しかもラーソンがミスキャストだ。主人公は一度ユニコーンを信じたら、周りの目をさほど気にすることなく我が道を行くタイプ。この際の突き抜け方が、単なるはしゃぎに見えるのが苦しい。脚線を意識したミニスカート。パステルカラーを意識した色彩。不思議ちゃん一歩手前の無垢。ラーソンのどこか冷めた目と役柄の相性がよろしくなく、女優ラーソンが無理をしてジタバタしているように見える。

 一度我に返り、そこからまた前に進んでいくヒロイン。彼女の世界観を最も良く表すアイテムは、ラメではないか。掃除機プレゼンの際に会議室にはラメの嵐が吹き荒れる。そしてそれこそがヒロインのイメージだ。現実を知ってなお、ラメのようにキラキラしたものをまとった人生を選ぶ。それが悪いのではない。それに特別惹かれない者たちがバカに見えるのが問題だ。ラメの正義が煩いということだ。





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