ザ・テキサス・レンジャーズ

ザ・テキサス・レンジャーズ “The Highwaymen”

監督:ジョン・リー・ハンコック

出演:ケヴィン・コスナー、ウッディ・ハレルソン、
   ジョン・キャロル・リンチ、トーマス・マン、キャシー・ベイツ、
   キム・ディケンズ、W・アール・ブラウン、ウィリアム・サドラー、
   デヴィッド・ファー、ジョシュア・カラス

評価:★★★




 クライド・バロウとボニー・パーカーを描いた「俺たちに明日はない」(67年)は映画史に燦然と輝く名作ではあるものの、実は現実をそのまま映し出しているとは言い難い。そこで『ザ・テキサス・レンジャーズ』だ。ふたりを追いかける側からの物語で、主人公はフランク・ヘイマーとメイニー・ゴルト、かつてテキサス・レンジャーとして活躍した初老のオッサン二人組だ。

 物事を別の角度から見ると、別の真実が見えてくるのはよくあること。「勝てば官軍、負ければ賊軍」というやつだ。オッサンの目から見たボニーとクライドに英雄視されるべきところはない。彼らが若く魅力的な容姿で、かつファッショナブルでもあったことから獲得したアンチヒーローのポジション、その幻想が粉々されていくのは、「俺たちに明日はない」好きには辛いところかもしれない。

 ただし、その引き換えに差し出される老いた男たちがまとう空気も悪くない。レンジャーズが解体されて以来老いていくばかりのフランクとメイニーの姿に、消えていくアメリカの原風景が重なる。僅かに残る西部開拓時代の香りをスパイスに、広大なアメリカの大地との共鳴が、何とも形容し難い詩情を獲得する。

 ジョン・リー・ハンコックは古き良き日のアメリカを描くと生き生きする監督だ。ゆったりと流れる時間を掴まえ、奥行き深い空間の気持ち良さを感じ、大恐慌後のアメリカの現実を突きつけ、ボニーとクライドを愛する大衆の心理に一定の理解を示す。そこに放り込まれたオッサンたちの身体には、若い犯罪者を追い詰めていくほどに、時代に取り残されたもの寂しさが映し出されていく。

 フランクとメイニーを演じるケヴィン・コスナーとウッディ・ハレルソンは「老いぼれ」を魅力的に見せる。コスナーは腹が出っ張り、顔の弛みも大いに目立つ。ハレルソンはいつも通りに禿げ、いつもとは違いアクの具合が弱い。下半身は重たく、かつてのようには動けない。その彼らを突き動かすものの正体、それが次第に見えてくる。ザ・テキサス・レンジャーズだった過去が意味を持つ。単純な善悪の追いかけっこではない。

 そういう意味で、オッサン二人組がボニーとクライドを捕まえられるかという話にならないのは当たり前だ。ハンコックが創り上げる枯れた世界観に身を任せること、それこそが最善の見方だ。したがってバディ映画的な熱いものは控えめで、かつての名作へのウインクはほぼないに等しい。まあ、仕方がない。ただ、さすがに2時間を超える上映時間は長い。ケレンを放棄したのなら、話の速度と緩急はもっと意識されるべきだったのではないか。





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