アウトロー・キング スコットランドの英雄

アウトロー・キング スコットランドの英雄 “Outlaw King”

監督:デヴィッド・マッケンジー

出演:クリス・パイン、アーロン・ジョンソン、フローレンス・ピュー、
   ビリー・ハウル、サム・スプルエル、トニー・カラン、カラン・マルヴェイ、
   ジェームズ・コスモ、スティーヴン・ディレイン、スティーヴン・クリー、
   アラステア・マッケンジー、クリス・フルトン、
   ローン・マクファディエン、ジャック・グリーンリース

評価:★★




 デヴィッド・マッケンジーがいきなり技を見せつける。スコットランドがイングランドに敗北、後のスコットランド王ロバート・ブルースがそれを受け入れ謝罪する件が10分近くになるだろう長回しで撮られるのだ。人の出入りの激しいテントを行き来するだけでも大変なのに、外で剣を交えるカットも挿入、遥か遠くの城壁を投石で破壊する場面でフィニッシュ。なかなかのインパクトであり、けれどこれがいちばんの見ものに終わるのは大きな誤算だろう。

 『アウトロー・キング スコットランドの英雄』はブルースが民衆の支持を得てイングランドに勝利するまでを描き出す。イングランドとスコットランドの攻防と言うと「ブレイブハート」(95年)が有名で、こちらはその後の物語になる。まるで「ブレイブハート」に倣ったかのような残酷描写が売りのひとつだ。銃のない時代、剣や斧、槍で戦う肉弾戦。誰も彼もが血塗れ泥塗れ、内臓が抉り出されるショットが平然と挟まれる。

 実に生々しい戦場。けれど、高き志から生まれる熱はさほど感じられない。ブルースは言う。「騎士道は捨てる。獣のように戦う」。確かに目を背けたくなるような激しい描写は多いものの、ブルースとスコットランドの民が団結、イングランドに勝負を挑む構図は弱い。おそらくクライマックスであるラウドン・ヒルの戦いに至るまでのスコットランドの人々の心理変化に一体感を持てないからだろう。

 実は最終決戦に挑むまで、ブルースには苦行のような出来事ばかりが降りかかる。スコットランド内部の分裂に直面。夜間奇襲を受けて兵士の多くを喪失。兵力になってくれと頼むために転々しても玉砕。弟は殺害、妻子は人質。水浴びでブルースのブルースが全世界に御開帳…おっと、これは女性ファンへのサーヴィスか。とにかく冴えないエピソードがずらり並び、観る側まで気分がどんどん沈んでいくのだ。

 クリス・パインが創造するブルースが基本静かな人物で、部下を鼓舞したり士気向上に繋がる演説をすることがないのは原因のひとつだろう。自らの命よりも国を愛する男の身体に流れる熱い血潮を感じられないということだ。大群で攻め込んでくるイングランドに対抗するための作戦も、どこかで見たような槍を張った溝作りだけでは、どう考えても心許ない。と言うか、ラウドン・ヒルの戦い、よく勝てたよなー。

 僧になる一歩手前のようなブルース=パインよりも周辺人物の方が印象に残る。イングランドに土地を奪われた恨みを持つダグラス卿(やたら絶叫するアーロン・ジョンソン)。威張り散らしても中身が伴わない残念なプリンス・オブ・ウェールズ(マッシュルームカットが可笑しいビリー・ハウル)。ブルースを力強くサポートする妻エリザベス(パインよりも男らしい存在感のフローレンス・ピュー)。スコットランドよ、彼らのおかげで退屈を免れたことを覚えておくが良い。





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