バード・ボックス

バード・ボックス “Bird Box”

監督:スザンネ・ビア

出演:サンドラ・ブロック、トレヴァンテ・ローズ、ジョン・マルコヴィッチ、
   ジャッキー・ウィーヴァー、ダニエル・マクドナルド、トム・ホランダー、
   リル・レル・ハウリー、BD・ウォン、ローラ・サラザール、
   コルソン・ベイカー、プルイット・テイラー・ヴィンス、サラ・ポールソン、
   ヴィヴィアン・ライラ・ブレア、ジュリアン・エドワーズ

評価:★★




 目隠しした母親と幼いふたりの子どもがボートに乗り込み、決して穏やかではない川を行く。これが『バード・ボックス』のキーヴィジュアルだ。彼らの身に何が起こったのか。彼らはどこに行くのか。緑豊かな大自然に囲まれながら、しかし彼らの人生は窮屈そうにしか見えない。想像力をかき立てる画と言える。

 ただし、物語にこの画以上の力は宿らない。ある日突然、人々が集団自殺し始めるという設定とその後の狂騒から連想されるのは、あのM・ナイト・シャマラン映画だったりする。「ハプニング」(08年)というそのままな映画もあるけれど、細部も含めて、実にシャマランっぽい。不敵な前提を用意し、ショッキングな画と展開で物語を繋ぐ。監督がスザンネ・ビアだという不思議。

 でもまあ、ビアのストーリーテラーとしての意地は見えなくもない。川を行く現在と事件が始まった5年前を行き来しながら、自殺を誘う「何か」の正体、一軒家に集まった人々の運命、親子に降りかかる運命が描かれていく。それぞれの謎が持つ吸引力は悪くない。ただし、いずれの謎も解き明かされる段階に差し掛かると、アイデアが枯渇したか、やけに雑に処理される。特に「何か」を見せない演出は「逃げ」に見える。

 おそらくまあ、目に見える「何か」が引き起こす惨劇は、何もかもが見え過ぎる現代社会のメタファーでもあるのだろう。情報過多で必要のないことまでが次々人生に雪崩れ込んでくる世の中、命を落としてく人々はその犠牲者ということか。その意図は察することができても、いかにも頭でっかちだ。自殺と結びつけるのもあまりに短絡的で不愉快ではないか。

 作中最も恐ろしい場面は、ボートの上で起こる。常に目隠しをしている親子が、ある地点を通過するにあたり、見張り役を必要とする。その際見張り役が誰になるか、誰にするか、という決断にまつわるエピソードには、サンドラ・ブロックの力の入った演技もあり、絶望を感じずにはいられない。また、この場面があるから、その後陸に上がってから離れ離れになる親子のエピソードに熱がこもる。

 ところでこの映画、目を開けてはいけないという奇抜な設定のおかげで見え難いもの、オリジナリティには乏しい。終末世界で生き残った人々を描く既存作品から拝借したとしか思えない画が並ぶのだ。最も近いのは「ウォーキング・デッド」(10年~)だろうか。サヴァイヴァーたち。食糧問題。仲間割れ。セックス。裏切り。恋愛。新参者が巻き起こすトラブル。「何か」の描写や物語の構成は「LOST ロスト」(04~10年)を思わせる。「ウォーキング・デッド」も「LOST」もTVシリーズだ。TVサイズの内容の域を出ていないと言えるかもしれない。





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