イエスタデイ

イエスタデイ “Yesterday”

監督:ダニー・ボイル

出演:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ、
   ケイト・マッキノン、ジョエル・フライ、エド・シーラン、
   ジェームズ・コーデン、ロバート・カーライル

評価:★★




 映画は基本、嘘の世界だ。どうせはったりをカマすなら、大きければ大きいほど良い。そうして『イエスタデイ』が描くのは、あのザ・ビートルズの存在を主人公以外が忘れてしまった世界だ。これまでも音楽を大いに活用した映画作りをしてきたダニー・ボイル、大きく出た。斯くして、売れないミュージシャンである主人公は、ビートルズの名曲の数々を自作として発表する。

 真っ先に論じるべきは、ビートルズという選択だ。人類史の中でも最も偉大なバンドであり、その楽曲は時を超えて今この時代も至るところで聴かれる。彼らを知らないリスナーを見つけることは、相当難しいはずだ。別の言い方をするなら、つまりこの選択はベタもベタ、ベタ過ぎてベタにならないほどベタなのだ。はったりは大きくても、捻りが全くない。

 いや、ベタでも良い。面白ければ良い。ビートルズでならなければならないのなら良い。ボイルもそう覚悟を決めたはずだ。ところが、ベタから生まれる気恥ずかしさは、作り手が思うより厄介なものなのだ。ビートルズの曲が流れる度、気持が良いのは確かだ。けれど、あまりにストレートな楽曲の使い方の数々が、登場人物や物語の鈍感さに繋がってしまうは損ではないか。思い出すのは「ラブ・アクチュアリー」(03年)の悲劇だ。

 ベタなミュージシャンを選んだ影響なのか、展開は驚きが一切ない無難なものに落ち着く。主人公はあれよあれよと言う間に名声を獲得、世界に熱狂的に迎えられる。当然罪悪感が生まれる。この際名声と天秤にかけられるのが、昔からサポートしてくれた愛する女性と誠実さだというのだから…「木綿のハンカチーフ」かよ!

 これはそう、ビートルズを讃える映画と見せかけながら、実はロマンティック・コメディだ。それも実に他愛ないそれだ。昔から好き同士なのに想いを伝えられないふたりが結ばれるまで…というやはりベタな設定に、ビートルズが魔法をかける、というわけだ。ヒメーシュ・パテルはともかく、リリー・ジェームズは相変わらず可愛らしくてそれだけで満足してしまうものの、あまりに単純な恋模様は、ビートルズへ敬意を表しているようで、むしろその逆なのではないか、なんて…。

 さて、ビートルズが消えた世界にエド・シーランが登場する。カメオ出演ではない。自身役ではあるものの、ちゃんと重要な役割を果たす。それはまあ、構わないのだけれど(堂々としているしね)、物語の中にシーランの楽曲が入り込むのはどうなんだろう。何と言うか、大人の事情が見え隠れするようで興醒めではないか。愛を謳いながら金の匂いの方が濃い、と言っては失礼か。





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