クロール 狂暴領域

クロール 狂暴領域 “Crawl”

監督:アレクサンドル・アジャ

出演:カヤ・スコデラリオ、バリー・ペッパー、
   モーフィッド・クラーク、ロス・アンダーソン

評価:★★★




 出来が良いからと言って、重厚な人間ドラマを描く映画ばかり観ていては疲れてしまう。一流レストランの高級料理ではなく、時折どうしようもなく身体に悪いファストフードを食いたくなるのが人間というもので、映画もそれと同じなのだ。そんなとき思い出したいのがアレクサンドル・アジャだ。何せアジャはホレ、あの珍作「ピラニア3D」(10年)を撮った人だ。それだけで期待に応えてくれそうじゃないか。

 『クロール 狂暴領域』でピラニアの代わりに暴れるのはワニだ。お馴染み、水辺の凶悪顔爬虫類。ほとんど小型の恐竜と言って差し支えない。嵐で河が氾濫、ワニが迷い込んだ家に閉じ込められた父と娘に襲い掛かる。実際、こんなシチュエーションになったらとても生きた心地にならないものの、これは正しくB級映画、時々ワニの方に肩入れしたりして、サスペンスが盛り上がる場面でも気分はのんびり。

 ただし、アジャはB級映画だからこそ、それに甘えてはいけないことを知っている。観客を楽しませようという工夫を散りばめ、突っ込み所から放たれる輝きを無駄にしない。例えば、父と娘が身動きが取れなくなり、ワニに襲われるのは家の地下だ。配管が複雑に張られているのが意味を持つ。ワニから逃げる際の障害になるのと同時に、ワニから身を守る壁にもなる。たったこれだけで死闘に抑揚がつく。

 その他にも家の中にじわじわと水が入り込んでくるのはタイムリミットが迫っていることを知らせる効果があるし、音に敏感なワニの習性も人間の知恵としてサスペンスに貢献する。ワニは陸上にいるときも怖い生物だけれど、水中を泳ぐときは怖さが倍増する。それを狙ったワニ目線の水中ショットが度々入るのも良い。それからワニに殺(や)られる犠牲者の調達も感心。最初の犠牲者に選ばれるのは、火事場泥棒なのだ。ひゃっほう。ワニたちよ、思い切り食うが良い。

 父娘に扮するのはバリー・ペッパーとカヤ・スコデラリオ。オッサンになったペッパーはともかく、男たちはスコデラリオの奮闘が嬉しいだろう。美女と水は相性がよろしく、水の滴る良い女がワニと戦う画は、酒のつまみに最適だ(なんて書くと女性軽視、女性蔑視と叩かれるのだろうか)。彼女が水泳選手であるという設定は辛うじて機能している程度だけれど、怒るべきではない。突っ込み所としては悪くないだろう。

 さて、いちゃもんをつけるとするなら、ワニに大ボスがいるという設定を作っても面白かったかもしれない。2メートル程度のワニがうじゃうじゃ出てきて、それに囲まれるのも悪夢には違いない。でも最後はバケモノみたいな巨大ワニが出てきて襲い来るのだ。突然変異とか何とか、その存在をこじつけても皆笑ってくれるだろう。あ、それからもう少し(下品な)エロがあっても良かった。アジャだからちょっと期待しちゃったヨネ。





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