ビリー・ザ・キッド 孤高のアウトロー

ビリー・ザ・キッド 孤高のアウトロー “The Kid”

監督・出演:ヴィンセント・ドノフリオ

出演:イーサン・ホーク、デイン・デハーン、ジェイク・シュア、
   レイラ・ジョージ、クリス・プラット

評価:★★




 映画界におけるビリー・ザ・キッドと言うと、西部開拓時代の義賊として知られる。扮するのはデイン・デハーンで、となるといつものヒーロー的ビリーは想像できない。事実、ここに描かれる彼は弱きを助け強きをくじく男とは印象が大いに異なる。もちろん英雄的側面も見え隠れするものの、むしろ心に残るのはその打算や残酷さ、卑劣さだ。デハーンの屈折した魅力が活きる。

 もうひとり有名人が出てくる。彼を追う保安官パット・ギャレットだ。演じるのはイーサン・ホークで、こちらはいかにも西部劇の世界に登場しそうな人物だ。ビリー登場で胸躍る序盤、彼は日陰の男だ。それが次第にその正義心を輝かせていくあたり、人間を簡単に善悪で推し量るのは難しいと痛感させられる。ホークが徐々に光を取り戻してくあたりも含め、もちろん狙い通りだろう。

 ただ、『ビリー・ザ・キッド 孤高のアウトロー』、主人公はビリー・ザ・キッドでもパット・ギャレットでもなかったりする。物語は15歳の少年が暴力的な父親を殺害するところから始まる。実はこの映画、彼がビリーやギャレットと出会い西部劇神話の一部の中で揉まれ、成長していく様を描くカミング・オブ・エイジ ストーリーとして見るのが正解だ。

 ところが、この少年像があまり面白くない。ビリーへの真っ直ぐな憧憬が歪みを生じていくあたりにドラマ性が宿るものの、基本はナイーヴな男の子が世間の厳しさに直面、結局は周りの人間の助けで何とか急場を凌ぐというだけで、ほとんど狂言回し的ポジションに収まる。安定感はあっても、同時に型通りという言葉につきまとわれる。

 ヴィンセント・ドノフリオは西部劇の世界をケレンで盛り上げるのを嫌ったか、現実的な描写に拘る。確かにサンタフェのロケーションは美しい。砂埃舞う空間も的確だ。暴力描写は正統派の西部劇を思わせる。驚くような描写はなくても、基本に忠実な描写が一定の力を画面に与えている。

 ただ、さすがにクライマックスぐらいは映画的に盛り上げても良かったのではないか。例えば、留置所からビリーと少年が脱獄する場面。或いはビリーとギャレットが最終対決する場面。西部劇スターが西部劇スターらしく輝く場面を作っても罰は当たらないだろう。結果、得をしたのは最初から最後まで嫌らしい悪役として登場する、出番は僅か、クリス・プラットだ。いつもの呑気なイメージを破る佇まい。デハーンやホークとの絡みをもっと見たいと思わせる。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ