モーガン夫人の秘密

モーガン夫人の秘密 “The Aftermath”

監督:ジェームズ・ケント

出演:キーラ・ナイトレイ、アレクサンダー・スカルスガルド、
   ジェイソン・クラーク、フィオン・オシェイ、ケイト・フィリップス、
   マーティン・コムストン、アレクサンダー・シェーア

評価:★★




 少なくとも出だしには身を乗り出す。第二次世界大戦が終了してから五カ月後のハンブルク、復興とゲリラ対処の任務に就くイギリス人大佐とその妻が感じる居心地の悪さが興味深いからだ。連合国の勝利で終わったからと言って、堂々街の中を歩くわけにはいかない。そこに住むのは敗戦国ドイツの人々であり、彼らの視線は勝利国の住人に対して温かくない。戦争は終わったようで終わっていない、その事実を感じる瞬間だ。

 キーラ・ナイトレイが演じる、『モーガン夫人の秘密』のヒロインはそれはそれは美しく登場する。大佐の妻だから金はある。ドレスアップして大邸宅を歩く。その姿は一見傲慢さの塊で、でもその奥底には哀しみを湛えているのがミソ。実は彼女は戦争で息子を亡くしているという設定、ナイトレイが惹かれたのはそのあたりのはずだ。良心に曇りがなく、ナチス党員ではなかったドイツ人に対してつっけんどんな態度しか取れない傲慢な女。でも実は人間らしいところがあるのよ…というわけだ。

 好感度の高くないヒロインの真の姿が見えてきたところで突如始まるのが恋愛劇というのが頓珍漢だ。大邸宅の元の持ち主で、今は屋根裏に住むアレクサンダー・スカルスガルドとの間に恋愛関係が芽生える。お互い良く思っていなかった相手なのに、何故。嫌いと好きは表裏一体だということに寄り掛かり過ぎではないか。ちょっとした衝突の後、スカルスガルドがナイトレイの唇を奪う。スカルスガルドは言う。追い出す口実を作ってやった、だって。書いてて照れるぜ。

 唐突な展開に突っ込むしかないわけだけれど、ひとつ歓迎したいのは、突如スカルスガルドが生き生き輝き始める点だ。それまでは妻の死と敗戦ショックからかげっそり疲れて見えたスカルスガルドなのに、ナイトレイと結ばれた直後から、目に見えて本来の美貌を取り戻す。服だって自信を持って脱いじゃうよ。カメラはスカルスガルドの太く逞しい指を映し出すことを忘れない。元々綺麗に撮られていたナイトレイに加えて、スカルスガルドまで美しくなるのだから、恋って素敵。って、ホントか!?

 要するに物語は、メロドラマと化す。戦争は街だけでなく人の心にも大きな傷跡を残す。つまりナイトレイもスカルスガルドも、そしてナイトレイの夫役のジェイソン・クラークも例に漏れない。映画は彼らの再生を描いているようで、どうしても記号化された惚れた腫れたの沼から抜け出せない。とりわけ問題なのは、ちっともヒロインの好感度が上昇しないところではないか。

 終幕の展開を思い出せば良い。スカルスガルドと一緒に新生活を始めようとするナイトレイが見せる動きは、ほとんど男たちを身勝手に振り回しているだけではないか。スカルスガルドにもクラークにも思い切り同情する。男たちを踏み台に自信を取り戻す彼女の背後に見える言葉は、やっぱり「傲慢」なのだ。





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