エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ “Eighth Grade”

監督:ボー・バーナム

出演:エルシー・フィッシャー、ジョシュ・ハミルトン、エミリー・ロビンソン、
   ダニエル・ゾルガードリ、ジェイク・ライアン、ルーク・プラエル、
   フレッド・ヘッキンジャー、イマニ・ルイス、グレッグ・クロウ

評価:★★★




 これは前代未聞じゃなかろうか。『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』のヒロイン、ケイラの顔いっぱいに広がるニキビだ。水着の上に乗っかった脂肪から察するに、おそらく主演女優エルシー・フィッシャーの自前なのではないか。できない人には全くできないのに、ヤツらは狙いを定めた相手に集中的に襲い来る。全く忌々しいったらない。ヤツらのせいで青春光度は五割ほども暗くなる。

 そう、ケイラの八年生生活は暗い。いや、痛々しいと言った方がしっくり来るか。投票で無口な人賞に選ばれてしまうほど冴えない中学生活。彼氏どころか友達もいない。パパはひたすらに鬱陶しい。彼女の憂鬱をこれ以上なく生々しく見せるところがミソだ。これに何も感じない人は、相当楽しい青春時代だったのだろう。それはそれで羨ましくないけど。

 大抵の人の青春なんてものは暗く、苦しいことの方が多いはずで、この映画は多くの青春映画の例に漏れず、主人公が「自分らしさ」を獲得するまでの話だ。共感は多いものの、筋だけ追えばありふれている。目新しく痛快なメッセージが用意されるわけでもない。

 …にも拘らず、グッと見入るのは細部描写がリアルだからだ。前述のようにヒロインの冴えない身体描写・日常描写はもちろん、大人の目からすると飛び抜けているわけではない者たちの背伸びが、「憧れ」としてとても丁寧に描かれていく。意地悪な同級生。やたら気になるあいつ。大人びた上級生。

 今の時代は、そうした普遍的な部分に、SNSにまつわる煩わしさがついてくるもので、そちらも抜かりなく取り上げられる。何とケイラは、寄せば良いのに、YouTubeにチャンネルを持っていて、ほとんどゼロに近い視聴者に向けて、毎度テーマを決めて発信中。人気者を装ったその内容が、いや、ホント痛い。見ていられないほど痛い。気に入ったらチャンネル登録してね…じゃないだろ。

 けれど、そんな痛々しい青春もぎゅっと抱きしめられるのだ。時に無神経でも愛情たっぷりの父親の言葉や、彼女の個性を見てくれる変わった少年とのやりとりが、希望に変わる。顔も分からぬ者に向けた言葉は、いつしか自分に返ってくる。痛々しさが無駄にされない。スマホの画面にひびが入ったまま、ケイラは前に進む。その清々しさに救われる。





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