ブラインドスポッティング

ブラインドスポッティング “Blindspotting”

監督:カルロス・ロペス・エストラーダ

出演:ダヴィード・ディグス、ラファエル・カザル、
   ジャニナ・ガヴァンカー、ジャスミン・セファス・ジョーンズ、
   イーサン・エンブリー、ティシャ・キャンベル=マーティン、
   ウトカルシュ・アンブドゥカル、ウェイン・ナイト

評価:★★★★




 「ヘイト・ユー・ギブ」(18年)『ブラインドスポッティング』の主人公はどちらも黒人で、かつ似たような体験をする。白人警官に黒人が銃殺されるところ目撃するのだ。ただ、題材への向き合い方は随分違う。前者がシリアスにそれと対峙するのに対し、後者はユーモアと度胸で立ち向かうのだ。

 『ブラインドスポッティング』の主人公青年コリンは、三日後には保護観察が解かれる。ゆえにそれまでは何とか平穏に暮らしたい。それなのにあんな痛ましい事件を目撃、それが頭にこびりついて離れない。彼はどう折り合いをつけるのだろう。この真面目な筋をどう揺さぶるか。そうして投入されるのが、コリンの白人の幼馴染で親友であるマイルズで、とにかく彼が良く機能する。

 コリンとマイルズは仲が良い。喧嘩をしても根っこの部分の繋がりは強力で、そんじょそこいらのことではそれが腐ることはない。ただ、自由の身になる日が近づく中、マイルズはコリンの気持ちにお構いなし。銃を買うわ、夫婦喧嘩するわ、黒人といざこざを起こすわ…。気が利かないマイルズと気が気ではないコリン。このコンビネーションに緊張感があり、かつ相当可笑しい。ヒップホップのリズムが感じられるのだ。

 しかもふたりは、ラップに乗せて言葉を戦わせる。普通に話すだけでは深刻になってしまうことも、旋律に乗せて韻を踏めばあら不思議、事態の表情がみるみる変わって行く。これは賭けだ。失敗すれば寒いだけの内輪ネタに留まる。コリンとマイルズはそれを切り抜ける。心の真実と密着したそれが、シリアスに背負い投げをキメる。

 ふたりが見る世界、生きる世界は同じようで同じではない。その差が決定的になっていく後半はさすがに切ない。互いへの思いがあるからこそ、その違いに愕然とする。一年前の事件も影を落とす。舞台となるオークランドのジェントリフィケーション化に対する思いは隠し味だ。人種が違うだけでこんなに溝ができてしまう。そこに来てのクライマックスのエピソードだ。

 やや作為ある偶然を経て、コリンが己を試される。それまでの彼が抱えていたもやもやが全て回収されながら、いよいよその人生の複雑さが怪物性を伴って巨大化する。これを突破するにはどうした良いか。しばらくの時間の後、コリンの傍らに寄り添う者の姿にグッと来る。希望はある。そう信じられる余韻がファンキーだ。やつらはやっぱりこうでなくては。





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