プライベート・ウォー

プライベート・ウォー “A Private War”

監督:マシュー・ハイネマン

出演:ロザムンド・パイク、ジェイミー・ドーナン、トム・ホランダー、
   スタンリー・トゥッチ、コーリイ・ジョンソン

評価:★★★




 メリー・コルヴィンは厄介な人物には違いない。命知らずで、PTSDで、一度こうと決めたら決して自分を曲げない戦場ジャーナリスト。けれど、心は麻痺していない。戦場の悲惨さに打ちのめされ、涙を流し、恐怖に慄く。そしていつ死んでも良いように、高級ブラジャーをつけるのだ。

 コルヴィンに扮したロザムンド・パイクは鳥の巣頭で登場、オシャレも何もあったものじゃない容姿ゆえ最後まで付き合えるだろうかと不安になるものの、片目を負傷、アイパッチ姿になってから俄然(軽薄さのないまま)ファッショナブルに輝き出す。片目ならではの世界が描かれないのは不満であるものの、アイパッチは容姿のアクセントだけじゃなく、何故彼女は戦場で生きるのか、それを語り掛けるシンボルにもなる。

 戦場に行くジャーナリストはしばし議論の対象になる。日本では自己責任論なんて言葉が軽々しく使われ、一方的に非難されることも少なくない。映画はどんな苦境に陥っても戦場に帰っていくカルヴィンを見つめながら、真実を伝える意義を強く信じる精神に立体性を持たせていく。

 ただし、英雄視はしないのが有り難い。彼女が周りを振り回すのは事実だし、時に自殺願望があるのではないかと思うこともある。恐ろしい惨劇の記憶と快楽に満ちたセックスが交互に映し出される場面が怖い。彼女は確かに戦場に魅せられているのかもしれない。快感をどこかで感じているのかもしれない。そう、戦争には、あぁ、中毒性があることが否定できない。

 『プライベート・ウォー』のコルヴィン役は「ゴーン・ガール」(14年)のエイミーと並ぶ、パイクの手掛けた複雑怪奇な人物として良いだろう。どんなに怖くても一歩踏み出して苦しみを記録するのよ。まともな言葉の裏側には、世間一般の価値観から飛躍した怪物的なジャーナリスト魂が揺らめき、パイクは物の見事にそれを掴まえる。外見だけじゃなく、声もかなり作り込んでいて、気合いが分かるというものだ。

 注文を付けるとするなら、カメラマン(実は演技ができたジェイミー・ドーナン)を除き、ほとんど一匹狼的立場で生きる彼女が、社会に与える影響がさらりと触れられるだけに留まる点か。結局はちっぽけな人間のひとりでしかないコルヴィンの世界での立ち位置がぼやけて見える。





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