トールキン 旅のはじまり

トールキン 旅のはじまり “Tolkien”

監督:ドメ・カルコスキ

出演:ニコラス・ホルト、リリー・コリンズ、デレク・ジャコビ、
   トム・グリン=カーニー、コルム・ミーニイ、アンソニー・ボイル、
   パトリック・ギブソン、ハリー・ギルビー、アダム・ブレグマン、
   アルビー・マーバー、タイ・テナント

評価:★★




 「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」(17年)でJ・D・サリンジャーを演じたばかりだというのに、どうしてニコラス・ホルトはJ・R・R・トールキンを手掛けることにしたのか。同様に決して明かされない大きな謎がある。実在の作家を主人公にした映画がどれもこれも、代表作に影響を与えた出来事を描くことで満足してしまうのは何故か。

 『トールキン 旅のはじまり』で言うなら、戦時下のトールキンに献身を捧げる部下の青年が「指輪物語」のサムそのものだし(名前までサムと紹介される)、ちらっと出てくるトールキンの故郷の景色はホビット庄を連想せずにいられない。物の数分でこれだから、その後も「指輪物語」の世界に通じるエピソードが次々出てくる。その世界観を知る者が、それだけでニヤリとするのは確かだ。

 確かだけれどしかし、それがそのままドラマのうねりに繋がらないことは強く意識しなければならない。映画になるくらいだから当然ドラマティックな出来事は出てくる。その中に作家のトリヴィア的エピソードを放り込んだからと言って、話は動き出さない。その羅列に終始するならば、むしろ平坦な画面になってしまうものだ。その罠にハマる。

 そんなわけで脚本がお粗末だ。最後まで観ても一切分からないのは、物語がトールキンの何を伝えたかったのかという酷くシンプルな問いだ。トールキンが学生時代に出会う心の友たちとの絆だろうか。けれどトールキンは次の瞬間には同じ屋根の下に暮らす女性との恋に夢中で、友達のことは二の次になっている。そうか、恋愛を盛り上げたいのか。と思いきや、彼女との距離が縮まるエピソードはあっさり切り上げられ、トールキンは大学残留を目指して言語学に熱心になっている。

 話の混迷はいよいよ戦場で露わになる。トールキンは仲間のひとり、ジェフリーを探して銃弾や砲弾が降り注ぐ中を彷徨うものの、それまでに戦時下で何を経験してきたのかがさっぱり描かれないため、彷徨が本当に彷徨以上の意味をなさない。そもそもいちばんの親友だと紹介されるジェフリー、えっ、ホントに?そんなことを感じさせるエピソードがあったか?

 物語は「ホビットの冒険」「指輪物語」の誕生を示唆して終わりを告げる。ただ、これはそちらを知っているから感じることであり、そうでない場合は激動の時代の波に乗ることのできたラッキー青年の苦労自慢の映画にしか見えないだろう。ホルトのスター性を確認することぐらいしか用をなさない。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ