November 8-10 2019, Weekend
◆11月第2週公開映画BUZZ
マリッジ・ストーリー “Marriage Story”
配給:Netflix
監督:ノア・バームバック
Budget:$8,600,000
Weekend Box Office:-
OSCAR PLANET Score:96.9 BIG WAVE!!!
Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演男優賞:アダム・ドライヴァー
主演女優賞:スカーレット・ヨハンソン
助演男優賞:アラン・アルダ
助演女優賞:ローラ・ダーン
撮影賞、編集賞、録音賞、音響効果賞、作曲賞
マリッジ・ストーリー “Marriage Story”
配給:Netflix
監督:ノア・バームバック
Budget:$8,600,000
Weekend Box Office:-
OSCAR PLANET Score:96.9 BIG WAVE!!!
Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演男優賞:アダム・ドライヴァー
主演女優賞:スカーレット・ヨハンソン
助演男優賞:アラン・アルダ
助演女優賞:ローラ・ダーン
撮影賞、編集賞、録音賞、音響効果賞、作曲賞
ドクター・スリープ “Doctor Sleep”
配給:ワーナー・ブラザース
監督:マイク・フラナガン
Budget:$55,000,000
Weekend Box Office:$14,114,124(3855)
OSCAR PLANET Score:64.8
Oscar Potential:主演男優賞:ユアン・マクレガー
助演女優賞:レベッカ・ファーガソン
撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
録音賞、音響効果賞、作曲賞
“Midway”
配給:ライオンズゲイト、サミット・エンターテイメント
監督:マイケル・ベイ
Budget:$59,500,000
Weekend Box Office:$17,897,419(3242)
OSCAR PLANET Score:46.7
Oscar Potential:主演男優賞:エド・スクライン
助演男優賞:アーロン・エッカート
助演男優賞:ルーク・エヴァンス
助演男優賞:パトリック・ウィルソン
撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
視覚効果賞、録音賞、音響効果賞、作曲賞
ラスト・クリスマス “Last Christmas”
配給:ユニヴァーサル
監督:ポール・フェイグ
Budget:$30,000,000
Weekend Box Office:$11,441,055(3448)
OSCAR PLANET Score:50.2
Oscar Potential:主演男優賞:ヘンリー・ゴールディング
主演女優賞:エミリア・クラーク
助演女優賞:エマ・トンプソン
助演助演賞:ミシェル・ヨー
“Honey Boy”
配給:アマゾン・スタジオ
監督:アルマ・ハレル
Budget:$3,500,000
Weekend Box Office:$301,065(4) Great!
OSCAR PLANET Score:82.0 BIG WAVE!!!
Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演男優賞:ルーカス・ヘッジズ
主演男優賞:ノア・ジュープ
助演男優賞:シャイア・ラブーフ
助演女優賞:マイカ・モンロー
撮影賞、編集賞、作曲賞
“Playing with Fire”
配給:パラマウント
監督:アンディ・フィックマン
Budget:$29,900,000
Weekend Box Office:$12,723,781(3125)
OSCAR PLANET Score:28.1 BIG BOMB!!!
Razzie Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演男優賞:ジョン・セナ
助演男優賞:キーガン=マイケル・キー
助演男優賞:ジョン・レグイザモ
※OSCAR PLANET Score…各有力媒体の批評を基にOSCAR PLANET独自の計算法により弾き出した評価バロメーター。作品賞、監督賞&脚本賞レース参戦を目指すのであれば、少なくとも70.0以上は欲しく、80.0以上なら堂々たる資格を具えていると考えて良い。ただし、演技賞や技術賞では作品評価が伸びなくても、候補入りする場合が少なくない。
※Oscar Potential…オスカーチャンスのある部門。太字は特にその可能性が高い。
【総括】
ヴェネチア国際映画祭では無冠に終わったものの、絶賛の嵐を巻き起こしたのがノア・バームバック監督の『マリッジ・ストーリー』。その後、嵐は各映画祭でも猛威を振るい、その度に評価を上げて今に至る。円満離婚を望む舞台監督の夫と女優の妻が、協議の過程で互いへの不満を爆発させていく様を描き出す喜劇。批評家は“21世紀版「クレイマー、クレイマー」”だと賛辞を惜しまない。結婚生活にまつわる問題の男女のずれを最高の分析力と観察眼によって考察、それが反映された人間ドラマはユーモラスにしてドラマティック、誰もが考えさせられる魅力に溢れている。互いへの思いやりや一緒にいるときの幸せがどのように形を変えていくのか、頼もしい説得力を伴いながら描き出されていく。俳優陣のアンサンブルもパーフェクト。バームバックのキャリアベストとの声が途切れない。この賛辞は2019年最高レヴェルにあることは間違いなく、オスカーでも主要部門を中心に大量ノミネートが確実視されている。危ないのは混戦の監督賞(バームバック)ぐらいではないか。彼の映画と言われるほどの演技を見せるアダム・ドライヴァーは2年連続候補確実、スカーレット・ヨハンソンは初ノミネートが見えてきた。それぞれの弁護士を演じるアラン・アルダ、ローラ・ダーンにもチャンスがある(とりわけダーン)。不安要素があるとするなら、Netflix映画だということだが、もはやオスカーがNetflixに無視を決め込むことは難しいと思われ、やはり大量ノミネートを大いに期待して良いだろう。
スティーヴン・キングの傑作小説を映画化したスタンリー・キューブリック監督作「シャイニング」(80年)の40年後を描く作品が登場。タイトルは『ドクター・スリープ』。惨劇を生き延びたダニー少年が大人へと成長、新たに起こる怪現象に対処しながら、再びあのホテルへと辿り着く…。「シャイニング」はキングには嫌われていることで良く知られているが、今回はどうか。まずは批評家からはまずまずの歓迎を受けている。前作を良い意味で強くは意識しない演出で、より登場人物の精神世界に入り込んだ恐怖が綴られる。毛穴に入り込むような寒々としたそれが(賛否はありつつも)魅力になっているという。ユアン・マクレガーら俳優陣も善戦。尤も、娯楽的な内容は賞好みとは言えない。また、興行的には期待を大きく下回る出足。プロモーションが巧く機能していないとの声もあるが…。
ローランド・エメリッヒが戦争映画に戻ってくる。『Midway』がその作品で、1942年6月、ハワイのミッドウェイ島で激突するアメリカ軍と日本軍による戦いを描くもの。どんな題材を手掛けても批評家に愛されないエメリッヒは健在で、今回の評価も芳しいとは言えない。歴史的に良く知られた戦争を様々な視点を用意して描写するも、物語も人物も描き込み不足、視覚効果ばかりが前面に出るいつものエメリッヒ映画とほとんど印象は変わらないとのこと。役者への言及もほとんどない。当然賞レースからは撤退と見るのが妥当で、内容や話題性不足を考えると今回はラジー賞も難しいかもしれない。ただ、興行的には予測を上回るオープニングを迎えている。尤も、華々しいと呼べるほどのそれではないのだが…。
『ラスト・クリスマス』はクリスマスが近づくと日本でも毎年大量に流れるイギリスのポップデュオ「ワム!」の同名楽曲がベースのラヴストーリー。ロンドンのクリスマスショップで働く若い女性と彼女の前に突然現れ不思議な魅力を振り撒く男性の関係を描く。楽曲を基にするという試みは珍しいものの、それが作品評価に繋がらないのが寂しいところ。主演を務めるエミリア・クラークとヘンリー・ゴールディングは好感度の高い掛け合いを見せ、技術的にも安定感あり、加えて楽曲の魅力もたっぷり…なのだが、肝心の物語は開発不足、想像力に欠けた展開が物足りなさを生んでいるという。賞レース参戦は端から狙っていないとは言え、残念な判定と言える。興行的にも苦しい立ち上がりだが、クリスマスに向けて腰の強いパフォーマンスになる可能性がなきにしもあらず、か…。
『Honey Boy』は人気子役から成長した青年俳優と酒浸りの父親の10年に渡る関係を描くもの。最近はお騒がせゴシップが少なくないシャイア・ラブーフの経験を基にしているのが話題。ラブーフは脚本も自身で担当、さらに父親役も手掛ける。批評は好意的見解のものが多く集まっている。普通とは言い難い環境で生きる少年の成長を極めてユニークな角度から見つめた物語。まるでラブーフは脚本を書き父を演じることで、自らセラピーを受けているようだとの指摘が目立つ。そしてラブーフ本人のパフォーマンスも大いに讃えられている感。主人公を二人一役で演じたノア・ジュープとルーカス・ヘッジズも健闘。もし賞レース参戦があるとするならラブーフの助演男優賞になるだろう。限定封切りながら、天晴れなスタートダッシュをキメているあたり、チャンスは想像以上にに大きいのかもしれない。

配給:ワーナー・ブラザース
監督:マイク・フラナガン
Budget:$55,000,000
Weekend Box Office:$14,114,124(3855)
OSCAR PLANET Score:64.8
Oscar Potential:主演男優賞:ユアン・マクレガー
助演女優賞:レベッカ・ファーガソン
撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
録音賞、音響効果賞、作曲賞
“Midway”
配給:ライオンズゲイト、サミット・エンターテイメント
監督:マイケル・ベイ
Budget:$59,500,000
Weekend Box Office:$17,897,419(3242)
OSCAR PLANET Score:46.7
Oscar Potential:主演男優賞:エド・スクライン
助演男優賞:アーロン・エッカート
助演男優賞:ルーク・エヴァンス
助演男優賞:パトリック・ウィルソン
撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
視覚効果賞、録音賞、音響効果賞、作曲賞
ラスト・クリスマス “Last Christmas”
配給:ユニヴァーサル
監督:ポール・フェイグ
Budget:$30,000,000
Weekend Box Office:$11,441,055(3448)
OSCAR PLANET Score:50.2
Oscar Potential:主演男優賞:ヘンリー・ゴールディング
主演女優賞:エミリア・クラーク
助演女優賞:エマ・トンプソン
助演助演賞:ミシェル・ヨー
“Honey Boy”
配給:アマゾン・スタジオ
監督:アルマ・ハレル
Budget:$3,500,000
Weekend Box Office:$301,065(4) Great!
OSCAR PLANET Score:82.0 BIG WAVE!!!
Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演男優賞:ルーカス・ヘッジズ
主演男優賞:ノア・ジュープ
助演男優賞:シャイア・ラブーフ
助演女優賞:マイカ・モンロー
撮影賞、編集賞、作曲賞
“Playing with Fire”
配給:パラマウント
監督:アンディ・フィックマン
Budget:$29,900,000
Weekend Box Office:$12,723,781(3125)
OSCAR PLANET Score:28.1 BIG BOMB!!!
Razzie Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演男優賞:ジョン・セナ
助演男優賞:キーガン=マイケル・キー
助演男優賞:ジョン・レグイザモ
※OSCAR PLANET Score…各有力媒体の批評を基にOSCAR PLANET独自の計算法により弾き出した評価バロメーター。作品賞、監督賞&脚本賞レース参戦を目指すのであれば、少なくとも70.0以上は欲しく、80.0以上なら堂々たる資格を具えていると考えて良い。ただし、演技賞や技術賞では作品評価が伸びなくても、候補入りする場合が少なくない。
※Oscar Potential…オスカーチャンスのある部門。太字は特にその可能性が高い。
【総括】
ヴェネチア国際映画祭では無冠に終わったものの、絶賛の嵐を巻き起こしたのがノア・バームバック監督の『マリッジ・ストーリー』。その後、嵐は各映画祭でも猛威を振るい、その度に評価を上げて今に至る。円満離婚を望む舞台監督の夫と女優の妻が、協議の過程で互いへの不満を爆発させていく様を描き出す喜劇。批評家は“21世紀版「クレイマー、クレイマー」”だと賛辞を惜しまない。結婚生活にまつわる問題の男女のずれを最高の分析力と観察眼によって考察、それが反映された人間ドラマはユーモラスにしてドラマティック、誰もが考えさせられる魅力に溢れている。互いへの思いやりや一緒にいるときの幸せがどのように形を変えていくのか、頼もしい説得力を伴いながら描き出されていく。俳優陣のアンサンブルもパーフェクト。バームバックのキャリアベストとの声が途切れない。この賛辞は2019年最高レヴェルにあることは間違いなく、オスカーでも主要部門を中心に大量ノミネートが確実視されている。危ないのは混戦の監督賞(バームバック)ぐらいではないか。彼の映画と言われるほどの演技を見せるアダム・ドライヴァーは2年連続候補確実、スカーレット・ヨハンソンは初ノミネートが見えてきた。それぞれの弁護士を演じるアラン・アルダ、ローラ・ダーンにもチャンスがある(とりわけダーン)。不安要素があるとするなら、Netflix映画だということだが、もはやオスカーがNetflixに無視を決め込むことは難しいと思われ、やはり大量ノミネートを大いに期待して良いだろう。
スティーヴン・キングの傑作小説を映画化したスタンリー・キューブリック監督作「シャイニング」(80年)の40年後を描く作品が登場。タイトルは『ドクター・スリープ』。惨劇を生き延びたダニー少年が大人へと成長、新たに起こる怪現象に対処しながら、再びあのホテルへと辿り着く…。「シャイニング」はキングには嫌われていることで良く知られているが、今回はどうか。まずは批評家からはまずまずの歓迎を受けている。前作を良い意味で強くは意識しない演出で、より登場人物の精神世界に入り込んだ恐怖が綴られる。毛穴に入り込むような寒々としたそれが(賛否はありつつも)魅力になっているという。ユアン・マクレガーら俳優陣も善戦。尤も、娯楽的な内容は賞好みとは言えない。また、興行的には期待を大きく下回る出足。プロモーションが巧く機能していないとの声もあるが…。
ローランド・エメリッヒが戦争映画に戻ってくる。『Midway』がその作品で、1942年6月、ハワイのミッドウェイ島で激突するアメリカ軍と日本軍による戦いを描くもの。どんな題材を手掛けても批評家に愛されないエメリッヒは健在で、今回の評価も芳しいとは言えない。歴史的に良く知られた戦争を様々な視点を用意して描写するも、物語も人物も描き込み不足、視覚効果ばかりが前面に出るいつものエメリッヒ映画とほとんど印象は変わらないとのこと。役者への言及もほとんどない。当然賞レースからは撤退と見るのが妥当で、内容や話題性不足を考えると今回はラジー賞も難しいかもしれない。ただ、興行的には予測を上回るオープニングを迎えている。尤も、華々しいと呼べるほどのそれではないのだが…。
『ラスト・クリスマス』はクリスマスが近づくと日本でも毎年大量に流れるイギリスのポップデュオ「ワム!」の同名楽曲がベースのラヴストーリー。ロンドンのクリスマスショップで働く若い女性と彼女の前に突然現れ不思議な魅力を振り撒く男性の関係を描く。楽曲を基にするという試みは珍しいものの、それが作品評価に繋がらないのが寂しいところ。主演を務めるエミリア・クラークとヘンリー・ゴールディングは好感度の高い掛け合いを見せ、技術的にも安定感あり、加えて楽曲の魅力もたっぷり…なのだが、肝心の物語は開発不足、想像力に欠けた展開が物足りなさを生んでいるという。賞レース参戦は端から狙っていないとは言え、残念な判定と言える。興行的にも苦しい立ち上がりだが、クリスマスに向けて腰の強いパフォーマンスになる可能性がなきにしもあらず、か…。
『Honey Boy』は人気子役から成長した青年俳優と酒浸りの父親の10年に渡る関係を描くもの。最近はお騒がせゴシップが少なくないシャイア・ラブーフの経験を基にしているのが話題。ラブーフは脚本も自身で担当、さらに父親役も手掛ける。批評は好意的見解のものが多く集まっている。普通とは言い難い環境で生きる少年の成長を極めてユニークな角度から見つめた物語。まるでラブーフは脚本を書き父を演じることで、自らセラピーを受けているようだとの指摘が目立つ。そしてラブーフ本人のパフォーマンスも大いに讃えられている感。主人公を二人一役で演じたノア・ジュープとルーカス・ヘッジズも健闘。もし賞レース参戦があるとするならラブーフの助演男優賞になるだろう。限定封切りながら、天晴れなスタートダッシュをキメているあたり、チャンスは想像以上にに大きいのかもしれない。
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